知らず知らずに「部下をつぶしている」上司の言動 自分の考えや感情を押し付けていないか

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ひげを剃りながら話しかけることを、みんなが嫌がっていることに気がついていない。あるいは、毎日本を渡すことを部下がそんなにも負担に思っているとは思いもよらない。こういう人に対しては、黙っているのではなく、はっきりとメッセージを伝えましょう。

「こうして本をいただけるのは、ありがたいことなのですが、普段は仕事で手いっぱいで読む時間が取れません。ですが、自分でも勉強したいと思っていますので、今度のゴールデンウィークにはできるだけ読み進めていきたいと思っています」といったように言えば、よほどの人でない限りはわかってくれるものです。

ひげ剃りに関しては、単に無神経でこちらの不快感に気づいていないだけ、という可能性もあるので、丁寧に抗議をすれば、素直に聞き入れてもらえるのではないでしょうか。無頓着な人にとっては、お弁当の上にひげが落ちるくらいなんてことないことかもしれませんから、自分の不快感が伝わるように話せば、わかってもらえる可能性は高まります。ただし感情的な人ですから、「あくまで丁寧に」が基本です。

日本の会社は加害者がほぼ制裁を受けない

本来ならば、感情のコントロールができず人に嫌がらせをするような人は、職場を乱しているわけですから、評価を下げるべきでしょう。ところが日本の会社では、加害者を制裁することはほとんどありません。

あっても人事異動程度で済まされてしまいます。訓告や始末書といった比較的軽い処分さえ行われません。ましてや出勤停止や賞与や給与の減額などのある程度重い処分ともなると、メディアが取り上げるなど、よほどのことがない限り実行されることはありません。

もちろん、スピークアップ制度(社内の通常の報告のルートとは異なり、匿名で情報を吸い上げる仕組み)などを活用して、現場の意見を吸い上げることを行っている企業もあります。それでも、本当にその制度が機能しているのかといえば、ほとんどしていません。

なぜならば、通報した従業員の匿名性を守るといっておきながら、通報内容を関係者に話されてしまったりするからです。ひどいときには、経営層が通報があったこと自体を握りつぶしてしまうことだってあります。

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