「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト 酒井穣著

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト 酒井穣著

人材育成の本は多いが、役に立つ本は少ない。著者の経験に基づく個人的な見解であったり、時代遅れで杓子定規な方法論であったりする。そんな本に飽き飽きしている人にとって本書は刺激的だろう。

著者の酒井氏は自分の頭で「人材」とは何か、「いかに育成したらいいか」を考えて本書を書いたものと思われる。たくさんの書物から引用がなされ、図表が紹介されている。そのいくつかは人事に携われる者ならだれでも知っているはずだが、酒井氏の分析によって新たな視点と意味が付与される。つまり本書には発見の喜びがある。

酒井氏によれば、人間は3つに分類される。学ぶことに喜びを感じ、放置されたままで育っていく「積極的学習者」(10%程度)、学習を避けたがる「消極的学習者」(60%程度)、創造を嫌い過去の習慣通りに行動する「学習拒否者」(30%程度)だ。

だれを育成するのかという「ターゲット人材の選抜」の対象になり得るのは、勝手に育つ「積極的学習者」よりも、手間を必要とする「消極的学習者」になる。
その選抜で酒井氏が提唱しているのは「評判」の重要性だ。こう書いている。

--教育ターゲット人材の選抜においては、過去の経験や実績、2-2で取り上げたパラメーターやコンピテンシーテスト結果などはもちろん参照するのですが、最も重視すべき項目は、その人材の「評判」だという点は、今一度協調しておきたいです。(中略)評判の良い人材というのは(もちろん例外もありますが)、基本的に自己の責任範囲を超えて、周囲の皆のために自分の何かを長期間にわたって犠牲にしてきた人材です。--

たしかにその通り。しかし人材育成や人事評価で「評判」に着目する企業はどれだけあるだろうか?

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