「見逃すな」マドン監督が語る大谷翔平の成長 「二刀流をやってのけたのはほとんど神業だ」
――先シーズンの大谷は、登板日の前日や翌日には打者として試合に出ることはなく、調整や疲労回復に努めた。今年はその「大谷ルール」が外され、ほぼ連日出場している。シーズン初めに決めたのか。いつ、どこで、どんな話をして決めたのか。
決めたのは(エンゼルスのキャンプ地であるアリゾナ州)テンピーの小さな会議室で、だ。
二刀流の解禁に至るまで
ミーティングに先立って、私は(エンゼルスのゼネラルマネジャー)ペリー(・ミナシアン)とじっくり話し合った。考えを擦り合わせておきたかった。冬中ずっと話し合い、キャンプに来て再度確認した。お互いの考えが一致していることをね。
完全にガラス張りにしたかった。球団の考えを知った上で、私の考えを(大谷に)伝えるつもりだった。
ペリーは単刀直入に言った。投げさせて打たせよう、と。私はにんまりした。全く同感だったからだ。
イッペイ(大谷の専属通訳を務める水原一平のこと)を通じて、ショーヘイに話す段になった……座って、われわれの考えを伝え、彼にどう思うか聞いた。
われわれが言ったのは、調子を見ながら、まず登板の予定を組み、その次に打者としての出場をその日その日の状態を見て決める、ということ。常に「投」を先に決め、その後に「打」を決めるという順番だが、そうはいっても投手としての役割が第一で、打者としての仕事はおまけ、ということではない。
ただ、優先順位は決めておく必要がある。ピッチングにしろ、トレーニングや調整にしろ、彼のスケジュールに組み込む順番をね。
彼はすんなりこの提案を受け入れてくれた。そこで次に聞いたのは、どういう状態なら投げる前や投げた後に打席に立てるか、だ。これまでは先発でマウンドに立つ日の前日と翌日は打者としての出場はなしというルールになっていたからね。
私の考えを伝えた。あらゆる可能性を試してもいい、投げたその日に打つのもありだ、と。ショーヘイは自分が一番気にしているのは体のこと、体の感覚だと言った。彼がやっていることはそう簡単じゃないからね。簡単そうに見せているだけで。
私たちは日々コミュニケーションを取ることにした。特に彼が投げる前日、当日、そしてもちろん翌日も。