「見逃すな」マドン監督が語る大谷翔平の成長 「二刀流をやってのけたのはほとんど神業だ」
――監督の目から見て、今シーズンと先シーズンの大谷の違いは?
感情面だね。よい意味で試合中に自分の感情を出すようになった。相手打者を三振に打ち取ると、こぶしを突き上げたり雄たけびを上げたりする。ホームランを放った後は、満面の笑みでダグアウトに戻ってくる。
開放感を楽しむ
われわれはやっとショーヘイという人間が分かってきた。一皮むけた感じだ。何の制限も、何の縛りもなしに、思い切りプレーしている。野球選手であること以外、何も気にせず力を発揮できる解放感を、彼は心から楽しんでいる。
ショーヘイ・オオタニはアメリカに渡り、二刀流でプレーするためエンゼルスと契約を結んだ。そして今、チャンスを得てそれをやっている。二刀流でやっていくことが彼にとってはとても重要なのだ。彼自身がそう語るかどうかはさておきね。二刀流をやってのけたのはほとんど神業だ。それが彼の最終的なレガシーとなるだろう。このレベルを数年間維持してきたのはすごいことだ。簡単にまねできるようなことじゃない。
――彼の肩にかかる期待の重さはどうか。日本中が注目しているし、アメリカ中が期待している。将来、二刀流を目指す若い選手のために、道を切り開くという責務もある。
それは私もよく分かっている。大変な重圧だ。特に日本ではアメリカよりもはるかに期待が大きいだろう。仮に彼自身がファンの期待を裏切ったと感じるようなことがあるとすれば、真っ先に日本のファンの気持ちを考えるだろう。われわれのことはその次だろうが、それは当然だ。
そうはいっても、彼は今、期待を全く裏切っていない。彼はそれほど素晴らしいし、今後さらに成長するはずだ。
投手としては速球のコントロールの精度が上がっているし、打者としてもさらに力を付けている。
競技に全身全霊で打ち込んでいる一流アスリートは努力を惜しまない。彼は素晴らしい青年で、しかも誠実で謙虚だ。スーパースターに求められる資質を全て備えている。
MLB専門のスポーツジャーナリスト。取材歴30年。ロサンゼルス・タイムズ紙やCBSスポーツなどのMLB記者・コラムニストを歴任。共著に『野球の90%はメンタル』〔邦訳・春秋社〕)
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