日経平均の今後を左右する「重大要因」とは何か テーパリング問題より注視すべき動向とは?

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たとえばQE(量的緩和策)3次のシャドーレートは2014年1月のテーパリング開始後も低下を続け、量的緩和が終了した2014年10月頃まで底辺に張りつき、その間、株価は上昇基調を維持した。今回の局面に当てはめると、シャドーレートは2022年央まで低下基調をたどり、上昇は資産購入終了が予想される2022年3Q以降となる蓋然性が高い。その間リスク性資産をサポートする公算が大きい。

FRB(連邦準備制度理事会)が示したドットチャート(政策金利見通しの予想分布図)に基づけば、2022年末までに0.5回分の利上げがあり、その後2023年に3回、2024年に追加で3回の利上げが実施される。ここまでは市場参加者の予想に概ね組み込まれていると考えられる。もっとも、インフレ率が高止まりすれば、利上げの開始時期の前倒しにつながったり、利上げペース加速を招いたりする可能性があり、それらは株価下落要因となる。こうしたリスクを考えるにあたってインフレの構造を把握しておくことは重要だろう。

今後は「家賃主導型」のインフレを予想

まず、これまでのインフレ率は「特定品目主導型」であった。インフレ率を押し上げてきたのは中古車や宿泊設備などパンデミックの影響を強く受けた品目に集中しており、その要因としては半導体不足に伴う新車の供給制約、パンデミックからの力強い需要回復など「一時的」とみられるものが多かった。こうした「特定品目主導型」のインフレは持続性に欠けると考えるのが自然だろう。したがって、金融政策に与える影響は限定的と判断される。

もっとも、今後は「家賃主導型」のインフレが予想される。CPI(消費者物価指数)の約3割を占める家賃がケース・シラー住宅価格指数に約1年遅れて動くことを踏まえるとその確度は高い。6月のケース・シラー住宅価格指数は前年比プラス19.1%と2000年代半ばの住宅バブル期を凌駕する勢いで上昇し、3カ月前比年率ではプラス23.5%へとさらに上昇の勢いを強めている。

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