みずほシステム障害で宙に浮く「全銀協会長」人事 例年10月が内定時期だが、先送りは必至の情勢

拡大
縮小

平時であれば、全銀協は毎年10月の理事会で次期会長を事実上内定させる。そのため、近く3メガバンクの関係者が集まり、会長人事について「協議をすることになる」(大手銀行幹部)。しかし、みずほの混乱ぶりを見た全銀協関係者は、「坂井氏に内定を出せるような状況ではまったくない」とあきらめ顔だ。

実は2011年のときも、会長の内定時期が12月まで後ろ倒しされている。ただ当時のみずほFGはシステム障害が収まり、金融庁による処分も終わっていた。今回は仮に内定時期をずらしたとしても、そのときまでにみずほFGの混乱が収まっているという保証はどこにもない。

このままでは業界での役割を果たせない

全銀協の会長の輪番を2年連続で守れないということになれば、初めての事態だ。業界を代表するメガバンクとして、求められる役割をまともに果たすことができないという苦しい立場にみずほが置かれることになる。

みずほが苦しいだけならまだしも、全銀協の会長人事の混乱はほかのメガバンクの幹部行員たちに、余計な負担を強いることになりかねない。

全銀協の会長行となれば、金融庁など監督当局や国会議員との折衝で東奔西走しなければならず、実務を担う有能な人材を行内からかき集める必要がある。そのため就任の半年前から「別室」と呼ばれる実務者チームを立ち上げ、準備を進めるのが通例であり、その行内人事がまったくもって狂ってしまうわけだ。

「いっそのこと輪番のメンバーに、新しくりそなさんでも加えたらいいんじゃないですかね」。みずほの問題長期化で困惑する全銀協の関係者からは今、そんな冗談とも本気ともつかないような声が漏れ始めている。

東洋経済プラスのデジタル特集では「2021年版 地方銀行ランキング」を配信しています。無料の東洋経済ID登録でご覧いただけます。

健全性、収益性、成長性で独自採点
地方銀行「総合」ランキング

地銀100社のうち30社が“赤字”
「本業利益」ランキング

ワースト1位の地銀は10%超え
「不良債権比率」ランキング

地銀の効率性が一目でわかる
「経費率」ランキング

中村 正毅 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT