カナダで同時開催のG8・G20、経済危機、新興国台頭で国際秩序が変動
6月25日~27日に、カナダにおいて主要国首脳会議(G8)と20カ国地域首脳会合(G20)が開催される。この2つが同時開催されるのは史上初であり、安全保障・途上国支援・経済問題解決がけっして切り離して語られるものではないことがより明確になってきたといえる。
金融経済危機の発生、新興経済国の台頭など国際秩序が変動する中,日本は引き続きグローバルな課題の解決に積極的な役割を果たさねばならない。G20は先進国と新興国が協力して課題を解決する場として,G8は基本的価値を共有する主要先進国が引き続き指導力を発揮する場として,それぞれ位置づけることが基本だ。
とにかく重要なのは経済問題解決だ。まず、世界経済を強固で持続可能かつ均衡ある成長へ移行させることが必要である。世界経済は予想よりも速い回復を続けているものの,欧州を中心としたソブリン・リスクへの懸念から、金融市場が不安定化するなどの下方リスクはいまだ存在している。
多くの国々で財政健全化が必要とされている中で,財政健全化と強固な成長との両立が重要となる。そのためには、経済政策の相互評価(「フレームワーク」)として世界全体としてより望ましい成長を実現するための政策オプションを検討する必要がある。
そして、金融システムの修復及び改革を加速させることも重要だ。FSB(金融安定理事会)・バーゼル委員会等における改革の進捗状況の報告(自己資本・流動性規制の強化,金融セクターによるコスト負担等)。
国際金融機関改革については、世銀の投票権改革や国際開発金融機関の増資は合意済みであり、IMFクォータ(出資割当額)の改革は11月のソウル・サミットを期限として議論していく。
国際貿易面では、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結に向けたコミットメントを再確認する。経済回復を下支えし,保護主義的な動きを抑止するとの観点から,ラウンドの早期妥結へ引き続き首脳が後押ししていく決意を表明するだろう。
環境問題については、気候変動につき,COP16に向けたモメンタムの維持・強化が求められる。コペンハーゲン合意を踏まえ,公平かつ実効性のある国際枠組みを構築すべく,新しい一つの包括的な合意の早期採択に向けたモメンタムを作ることを、日本政府は主張することとなっている。
そして生物多様性についてはさらに、COP10に向けたモメンタムを形成する流れとなる。ポスト2010年目標の策定を含め,10月に日本が開催するCOP10への協力を要請することとなろう。