半年~1年待ちも!トヨタ車の「納期」が長い訳 トヨタの強さの背後に見えるライバルの弱体化

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納期2年を要する新型ランドクルーザーについては、販売が海外中心という事情も絡む。開発者によると「生産総数の50%以上が中東で販売され、オーストラリアとロシアを加えると90%に達する」という。日本国内はランドクルーザーにとって小さな市場だから、割り当て台数も限られ、納期が2年まで延びた。

8月2日に発売となった「ランドクルーザー」(写真:トヨタ自動車)

「ヤリスクロス」を含めたヤリスと「アクア」は、3車種ともにエンジンやハイブリッドシステム、プラットフォームなどを共通化している。これらの車種を次々と投入したことも、納期を延ばした理由だ。アルファードやハリアーの長い納期にも、偏りのある売れ行きが影響を与えた。

販売格差がユーザーに及ぼす2つ目の不利益は、“車種の廃止”だ。売れ行きを激減させたヴェルファイアは、次のモデルチェンジで廃止され、アルファードに統合される見込みである。

「ヴォクシー」「ノア」「エスクァイア」の3姉妹車も、エアロパーツ装着車がヴォクシー、標準ボディはノアになり、エスクァイアは廃止されることが決まっている。

先ごろ、エスクァイアのホームページに「21年12月上旬をもって生産終了いたします。長い間たくさんのお客様にご愛顧いただきました」というアナウンスが出された。

「エスクァイア」は「ノア/ヴォクシー」よりも上級志向の車種とされた(写真:トヨタ自動車)

このほか「マークX」「プレミオ&アリオン」「ポルテ&スペイド」「プリウスα」などは、販売格差による売れ行きの低下も影響してすでに廃止された。販売格差は、ユーザーの選択肢を減らしてしまう。

新車を買うなら長い納期を覚悟して

トヨタは全店が全車を扱う販売体制に変わり、ホンダや日産は軽自動車の販売比率を増やした。これらの影響で、販売台数ランキングの上位にはトヨタ車が並び、販売格差が拡大して納期遅延を引き起こしている。国内販売のいろいろな事柄が、互いにつながっているわけだ。

新型コロナウイルスは、国内・海外ともに短期間では終息しないといわれる。そうなると半導体の不足も長引く。

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従来、新車の納期は1~2カ月が一般的だったが、しばらくは長めに半年程度と考えたほうがよさそうだ。

特に昨今の新車需要は、約80%が乗り替えに基づく。現在、使っているクルマの車検満了に合わせて新車に乗り替えるので、納期が予想外に長いと、新車が納車される前に車検が満了してしまう。商談を早めに開始するなど、新車を買う時には注意が必要である。

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渡辺 陽一郎 カーライフ・ジャーナリスト

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わたなべ よういちろう / Yoichiro Watanabe

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまにケガを負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人たちの視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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