半年~1年待ちも!トヨタ車の「納期」が長い訳 トヨタの強さの背後に見えるライバルの弱体化

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今では、スズキとダイハツに加えて、ホンダや日産までが軽自動車の比率を増やしたため、国内で新車として売られるクルマの40%近くが軽自動車になった。

今や日産の主力車種の1つとなった「ルークス」(写真:日産自動車)

そうなると、販売規模の大きなメーカーで、小型/普通車に力を入れるのはトヨタだけとなる。その結果、トヨタに需要が集中したのだ。

小型/普通車市場でトヨタが強いというよりも、ホンダや日産の売れ行きが下がった結果として、トヨタのシェアが50%以上に押し上げられたと見るべきだろう。

また、トヨタ車が販売ランキングの上位に集中する理由として、トヨタ車の売れ行きが二極分化したことも挙げられる。販売台数ランキングの上位にはトヨタ車が並ぶが、売れ行きを下げた車種も少なくない。

例えば、「クラウン」は2018年8月には5674台が登録されたが、2021年8月は1244台だから、売れ行きは3年前の22%に留まる。「C-HR」も3年前は6075台だったが、2021年8月は1304台と21%しか売れていない。

「クラウン」といえばかつては花形車種だったが……(写真:トヨタ自動車)

さらにアルファードの姉妹車となる「ヴェルファイア」は、アルファードに人気が集中したうえにグレードを整理したこともあり、2018年8月は2907台だったのに2021年8月はわずか300台と、3年前の約10%まで激減した。「プリウス」も、7471台から3793台へ半減している。

このようにヤリスやルーミーが好調に売れる一方で、登録台数を大幅に落とした車種もあり、人気車と不人気車の格差が拡大した。その結果、人気車種の納期遅延が起こっているのだ。

全車全店扱いの弊害

販売格差が拡大した背景には、2020年5月から全国的に実施されたトヨタの新しい販売体制も影響している。従来の体制では、トヨタ店/トヨペット店/カローラ店/ネッツ店の4系列が、それぞれ専門に扱う車種も用意していた。

例えばアルファードはトヨペット店のみ、姉妹車のヴェルファイアはネッツ店のみが販売して、ほかの系列では買えなかった。そうなるとネッツ店は、専売車種となるヴェルファイアに力を入れた。

ところが2020年5月以降は新しい販売体制の導入により、トヨタの全車をすべての店舗で買えるようになった。人気車のアルファードは、それまでアルファードやヴェルファイアを扱っていなかったトヨタ店とカローラ店でも、好調に売れ始めた。そればかりか、今までヴェルファイアに乗ってきたネッツ店の顧客も、アルファードへ乗り替えるようになった。

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