半年~1年待ちも!トヨタ車の「納期」が長い訳 トヨタの強さの背後に見えるライバルの弱体化

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その結果、ヴェルファイアの売れ行きが下がってグレードも整理され、2021年8月は、アルファードが6483台、ヴェルファイアは300台という格差に至った。このように全店が全車を扱う販売体制に移行すると、人気車は全店で売れ行きを伸ばす。逆に伸び悩む車種は、売れ行きをさらに下げてしまう。

「ヴェルファイア」はグレードが「GOLDEN EYESⅡ」のみに整理され、ボディカラーも2色のみに(写真:トヨタ自動車)

また、以前ならトヨタ店の顧客がクラウンからアルファードへ乗り替えようとしたとき、さまざまな好条件を提示してクラウンに留まるように説得していた。アルファードを扱うのはトヨペット店だから、乗り替えられるとトヨタ店は顧客を失うからだ。

しかし、全店が全車を扱う今なら、トヨタ店でもクラウンからアルファードに乗り替えられる。引き止める理由もなく、単純にいえばクラウンの売れ行きが1台減ってアルファードは1台増えるから、2台分の格差が生じる。

以前は日産やホンダにも販売系列があり、専売車種も用意していた。それが2000年から2007年頃にかけて、全店が全車を扱う体制に変わり、車種ごとの販売格差が拡大した。その結果、ホンダでは前述のように国内で売られる新車の50%以上が軽自動車になった。

今や「日本で最も売れているクルマ」となった「N-BOX」(写真:本田技研工業)

軽自動車にコンパクトサイズの「フィット」「フリード」「ヴェゼル」も加えると、国内販売全体の80%以上に達する。販売しやすい一部の車種だけが、国内市場を支えているわけだ。

日産の売れ筋車種も、ルークスやデイズなどの軽自動車の他は、コンパクトカーの「ノート」とミニバンの「セレナ」に限られる。これらを合計すると、国内で新車として売られる日産車の約70%だ。

販売格差が生み出すユーザーの不利益

トヨタは販売体制を変更した直後で、軽自動車も少数のOEM車以外は扱わないから、ホンダや日産ほど売れ筋車種が偏っていない。それでも販売格差は急速に進んでいる。

ルーミーが登録台数2位になった背景にも、販売体制の変更を受け、2020年9月のマイナーチェンジで姉妹車の「タンク」を廃止したことがある。タンクの需要もルーミーに移り、売れ行きを伸ばしたのだ。

「ルーミー」はコンパクトカーのハイトワゴン(写真:トヨタ自動車)

過去を振り返ると、2年前の2019年8月には、ルーミーが7474台、姉妹車のタンクも5967台が登録され、合計すれば1万3441台であった(2020年はコロナ禍で大きく落ち込んだ)。2021年のルーミーは1万347台だから、姉妹車を合計すると実は2年前の方が多く売れていた。

このような販売格差は、ユーザーにさまざまな不利益をもたらす。まずは冒頭で述べた“納期の遅れ”がある。今は半導体の不足もあり、すべてのメーカーで納期遅れが生じているが、トヨタでは前述のとおり売れ筋車種の多くが半年以上と長い。

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