未婚化の原因は「女性余り」という壮大な勘違い 50代前半までの人口で見ると「男性余り」の現実

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問題は男性の未婚化による「おひとり様」問題です。男性の孤独死は女性の孤独死の3倍から4倍にのぼる、との孤独死物件の清掃対応業者の現場記事や、男性の孤独死に関する著書や発信を目にしている方は少なからずいるのではないでしょうか。

統計情報としては、2020年11月に公表された一般社団法人日本少額短期保険協会のレポート「第5回 孤独死現状レポート」があり、孤独死の男女比は8:2(サンプル数4448人)と男性の孤独死が圧倒的となっています。また、65歳以上の高齢者の孤独死は約5割、死亡平均年齢は60歳あたりとなっており、「孤独死は高齢者の話でしょう」とは言えない状況となってきています。

男性の孤独死研究は専門外ですのでこれ以上は述べませんが、男性の未婚化がもたらす孤独死、介護離職、介護トラブルは今後、未婚化割合の高さからさらに社会問題化していくと思います。

統計的に「キリギリス婚活」は成功しない

残念ながら全国の結婚支援の現場の方からも、婚活当事者の健康や親の健康問題が発生し始めてからの「そろそろ結婚したい」「子どもも欲しい」といった、まるで童話「アリとキリギリス」のキリギリスのような男性の結婚行動(介護婚活:親または自らの介護目的の婚活)を問題視する声が多数、筆者のところにも届いています。

筆者の過去記事でも何度もお伝えしていますが、男女で結婚適齢期(結婚が成立しやすい時期)に差はほぼありません。

初婚同士のカップルの結婚ピーク年齢は、男性27歳、女性26歳です。初婚同士の結婚の7割が男性32歳まで、女性29歳までで発生します。統計的に見て、アリとキリギリスの「キリギリス婚活」は成功しないのです。

もし、介護婚活に近い不安を持ちつつ過ごしている場合は、1日も早く、そして自分の体のケアや親の介護に関して「お互い様」と思ってもらえる年齢のお相手との結婚を急いでいただきたいと思います。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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