マクドナルドでまた「衛生問題」が発覚 私服の親子を厨房へ、本社は全店に点検指示

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筆者が現場と本社に問い合わせたところ、本社コーポレートリレーション本部PR部が取材に応じた。それによると、この店舗では今年7月末から「マックアドベンチャー」実施店となり、すでに30人以上の参加者を受け付けてきた。それが公式サイトにはまだ反映されていなかったという。

そして当日の対応については「本来は親を含めて制服や制帽、エプロンを着用してもらうが、この日は子どもが帽子をかぶることを嫌がり、泣き出してしまった。しかしせっかく来たからと、私服のまま体験させてしまった。店員が子どもを抱きかかえるなども本来は逸脱した行為。判断として間違っていた」と釈明した。

創業直後から続く人気イベント

7月29日の決算会見でのサラ・カサノバ社長

マックアドベンチャーは「ストアツアー」などとも呼ばれ、日本法人の創業間もない1970年代から続けられている子ども向け職業体験。現在は750店舗、年間14万人ほどが参加する人気イベントだという。手洗い、厨房や冷凍庫の見学から始まり、店員と同じ手順でハンバーガー作りやドリンクの用意を体験する。

営業時間内に行うのは通常通りだが、本来は制服、制帽の子どもが「何かやっている」ことはすぐ分かるため、特別な掲示などをすることはない。その上で、今回は「現場やお客様センターの回答も説明不足だった。この時期にわれわれがお客様からどう見られているか、あらためて反省して現場で共有したい」とする。

マックアドベンチャーがうたう趣旨は「マクドナルドの品質や衛生管理に対するこだわりの体験」。それが今、まったく裏目に出てしまっていることが、同社の迷走の根深さを表していると言えそうだ。

関口 威人 ジャーナリスト

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せきぐち たけと / Taketo Sekiguchi

中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で環境、防災、科学技術などの諸問題を追い掛けるジャーナリスト。1973年横浜市生まれ、早稲田大学大学院理工学研究科修了。

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