「オールAになれない」と悩む人に教えたい真理 不得意な分野に遭遇したときの対処法とは……

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例えば、将来的に海外を含めた大学院などに行こうとする場合は、GPA(自身の平均的な成績評価の基準)を一定レベル以上持っておいたほうが有利に働いたりもします。何より学ぶということは、自身の中で当たり前のものに習慣化することであったり、思考訓練の糧であったりします。

そもそも、学生時代の勉強で得た知識が、社会で100%役立つわけではありません。しかしながら、学ぶということの楽しさや、「ある特定の思考回路に従って考えると、正解にたどり着ける」という経験、学びを通じて視野が開けるといった経験を多く有することは、その後の人生において非常に重要なのです。

注力したい分野では1番を目指す

ですから、学習したい科目とそれ以外の科目に分けるぶんには構いませんし、むしろ勉強したいと思える分野があること自体は素晴らしいです。注力するべき分野はとことん1番を目指すべきですし、そうでない分野においても努力をして、平均点以上を取っておく必要はあると考えましょう。

注力するべき分野における現状の1番はどんな人で、どんなレベルなのかをリサーチし、自分が追いつくためにはどうしたらよいか、そのうえで自分のゴールをどこにおくかを考え、勉強する意義を単に勉強するということ以上のところに持っていくことができれば、今以上に勉強に身が入るはずです。

やらされていると感じるうちは勉強に身が入らないものだと思いますが、やる意義を見つけられれば、勉強も苦労よりは楽しみが勝るはずです。

もちろん、注力しない分野においても、どのレベルを目指すべきなのかをきちんと把握したうえで、時間配分を考えるとよいでしょう。そうすると優先順位が決まり、時間の使い方にメリハリが出ます。

優先順位をつけるという行為は勉強だけでなく、その後の人生にも非常に役に立ちます。人生をうまく切り開いている人は、優先順位をつけるのがうまいのです。自分の人生のゴールやテーマに照らし合わせて、今何をするべきで、反対に今は何をあきらめるべきかといった決断をし、前進をすることができるからです。

反対に、人生における優先順位をつけることが苦手な人は、毎年「なんだか今年も忙しかったけれど、何も達成できなかったなぁ」と考えたりするものです。

すべてにおいて優秀で完璧な人なんて、世の中には存在しません。自分の特徴や才能を早いうちに理解し、その分野で最大限の工夫をして人生を切り開くことが、私たちのような一般人にできるベストでしょう。すべてにおいて完璧であろうとする、オールA思考からあえて脱却してみるのも、ありだと思うのです。

山田Aさんが勉強を通じて、ご自身の人生のテーマやゴールを見いだし、その分野で活躍をされることを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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