子どもの電話相談「雑談したい」が多数という衝撃 話を聞かず、すぐ怒ったり助言する大人たちへ

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そうやって子どもの気持ちを聞いていくと、子どもがどんどん別の話をしていくことがあります。その奥にあるのは宿題の話ではなく、実は人間関係に悩んでいたり、先生との関係に悩んでいたり、自分の特性について悩んでいたり、ということがあるのです。

話しながら気持ちが整理されて、子どもが自分の心の奥にある気持ちに気づくこともあるでしょう。だから、揺れる気持ちもそのまま聞いてあげてほしいと思います。

小さい子だと、そのときに泣いてしまうことがあるかもしれません。中学生くらいでもそうです。これは親子限定で言えることですが、そういったとき、小学生くらいであれば抱きしめてあげるのがいいと思います。中学生以降だといやがる子もいますので、手を握ってあげてください。それだけでも子どもはほっとします。

話をきちんと聞いてもらう前に、問題を勝手に決めつけて、求めてもいない情報を提供されたら、誰でも嫌なものです。この気持ちは、子どもでも同じなんだ、ということを忘れないでほしいと思います。

心から共感はできなくても「傾聴役」に徹する

また、子どもが不安を抱えているときは、「気にするな」「仕方がない」という言葉は言わないであげてください。それを言っても不安な気持ちは取り除けないですし、言われた子どもは自分が否定されたような気持ちになります。

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子どもの不安や葛藤にはできれば共感を示してあげてください。難しければ共感するふりでもいいんです。

これはカウンセリングの手法ですが、ある程度の「オウム返し」は効くと思います。「宿題、できなかったんだよ」「そう、宿題ができなかったのね」「だから、学校に行きたくなくて」「学校、行きたくないんだね」と、子どもの話をそのまま繰り返す。

その人に寄り添って話を聞く、「傾聴」が大事です。でも、聞いているとイライラすることもあるでしょう。難しいです。

もちろん、本人がどんな気持ちだったのか、理解しようと思いながら聞くほうがよいとは言われています。しかし、できない場合は「傾聴役」という芝居を打つと心に決めてください。本心までコントロールしなくてもいいんです。素晴らしく理解のある親、子どもの苦しみを丸ごと受け止める親になんて、誰もなれないんですから。

石井 志昂 『不登校新聞』編集長

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いしい しこう / Shiko Ishii

1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙である『不登校新聞』のスタッフとなり2006年から編集長、2020年からは代表理事も務める。これまで不登校の子どもや若者、親など400人以上に取材し、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者に不登校をテーマに取材を重ねる。「あさイチ」「逆転人生」(NHK)「スッキリ」(日本テレビ)「報道特集」(TBS)などメディア出演多数。不登校新聞社が編著書として関わった書籍に『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)などがある。

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