財政危機で足並み乱れる金融規制論議
6月26、27日の両日、カナダのトロントでG20金融サミット(主要20カ国・地域首脳会議)が開催される。今回の中心議題は、財政問題と金融規制だ。
2009年前半には、金融危機の再発防止へ向けた規制強化の議論が進んだ。欧米では金融機関に公的資金を入れざるをえなかったため、国民からの批判が議論に拍車をかけた。
ところが、金融機関のレバレッジ削減により生じた景気後退を食い止めるために各国が財政出動を行った結果、金融危機はソブリン危機へと発展。これがさらに金融機関の抱えるリスク、金融機関破綻へのおそれにつながっている。
野村資本市場研究所の井上武主任研究員(ロンドン駐在)は、金融規制の議論について、「欧州では景気への影響を懸念して先延ばしにしようとする意見と、状況が厳しいからこそ早めに手を打つべきとの意見と、二つに分かれている」という。各国の事情の違いによる温度差も浮き彫りになってきている。
「大きすぎて潰せない」 難しいSIFの議論
金融規制に関するテーマは多岐にわたる(下表)が、危機の再発を防止するための政策については考え方に大きな溝はなく、過去のG20で示されたスケジュールにほぼ従って動いている。