KDDIvs住友商事、JCOM争奪を終えても三角関係に残る火種
「KDDIが株主に加わってくれたことは、ジュピターテレコム(JCOM)にとって大きなプラスになる」。6月10日、KDDIとケーブルテレビ(CATV)最大手JCOM、同社大株主の住友商事は提携会見を行った。住商の大澤善雄常務はこう発言し、友好ムードを強調した。
KDDIが米リバティ・グローバルの持つ株式をすべて引き取り、JCOMの筆頭株主になると表明してから5カ月弱。ようやく3社そろって会見に臨んだが、これまでの道のりは平坦ではなかった。
対NTTの連合形成を狙って、1月にKDDIが出資を発表すると、翌月住商がJCOMに対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると公表。4月時点で保有比率を40%に引き上げ、筆頭株主となった。「われわれが主導権を握ることが非常に重要。KDDIが得意な電話、ネットの世界とJCOMはだいぶ違う」(大澤常務)と対抗姿勢をあらわにし、大株主同士の関係が注目されていた。
今回発表された提携策では、JCOMの電話サービスをKDDIに切り替えるなど、複数の施策を実施する。
中でも目玉は、KDDI傘下のCATV2位ジャパンケーブルネット(JCN)とJCOMの提携。規模を生かした共同番組調達を始めるほか、将来的には両社の統合も検討するとしている。
子会社化になお意欲
しかし、これは今後の大株主2社の関係に微妙な影を落としかねない。今回、CATV2社の統合時期や方法は未公表。が、仮に株式交換となれば現在出資比率3割超のKDDIの元へ追加でJCOM株が転がり込む。交換比率次第では住商の比率(40%)を上回るだけでなく、連結子会社化の可能性も出てくる。