ウィシュマさんへの「残酷な扱い」が起きた仕組み このまま終わっては同じことが繰り返される

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報告書などでは問題行動を起こした職員らの氏名も明らかにされていない。ウィシュマさんの放免を拒否した職員の氏名も、満身創痍状態のウィシュマさんに対して「鼻から牛乳」と嘲笑したり、助けを求めるウィシュマさんの上をまたいで部屋を去った看守の氏名は明かされていない。ウィシュマさんが亡くなる前に書いた手紙を読まなかった「入国者収容所等視察委員会」の委員の氏名も公開されなかった。

完全に省かれている収容に関する必要性の調査

もう1つ、この報告書は重要なことに触れていない。ウィシュマさんの死の最も重要な原因である、「非正規滞在者の必要性を問わない収容」という問題についてである。

ウィシュマさんがドメスティック・バイオレンス(DV)からの保護を求めて交番を訪れた8月19日から197日後に収容中に死亡するまで、ウィシュマさんの収容は司法審査の対象にはならなかった。彼女の健康状態は急速に悪化しており、住居と保証人の提供があったにもかかわらず、「仮放免(外国人側からの請求などによって、入管の裁量により条件付きで身柄を解放する措置)」の要求は拒否された。

「恣意的拘禁ネットワーク(NAAD)」らNGOがその共同声明で強調しているように、報告書は「ウィシュマさんの収容が憲法と国際人権法に準拠していたか否かの調査を完全に省いている」。ウィシュマさんの収容は、「合理性、必要性、比例性」を欠いていると結論付けている。経済的にも彼女を死亡するまで収容したコストは、放免して生きさせることよりもはるかに高いことが判明している。

ウィシュマさんの死は予測可能で回避可能だった。ウィシュマさんの死は日本の入管システムによって引き起こされたものだ。

日本では、非正規滞在者はいかなる理由があろうとも、本国へ送還することを原則としている。そして、非正規滞在者は送還に合意するまで収容される(場合によっては合意していても、帰国費用を持っていないという理由で収容が続く場合もある)。

その収容状況は今回の最終報告書からも垣間見られるように、とても人道的と呼べないどころか、人権侵害が横行していると言わざるをえない。一時的に仮放免が認められたとしても、非正規滞在者は日本では働くことは認められていないうえ、いつ再び収容されるかもわからない。

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