「日系エンジン」が中国の新燃費規制で注目の訳

国際基準導入で日系メーカーの好機となるか?

中でも中国の自動車排ガス規制「国6」基準を含む試験サイクルの変更が、重要な課題として位置付けられた。

上記新規格をベースとする第5段階燃費規制は、乗用車メーカーに義務づけられている燃費目標(CAFC規制)および新エネルギー車(NEV)生産の「ダブルクレジット規制」を推進するための重要な技術的指標となる。

新基準を適用することは、中国自動車業界にさまざまな影響をもたらすものと考えられる。まずは、WLTCモード試験の導入に伴う、乗用車のカタログ表記燃費の悪化だ。

なぜ、表記燃費が悪化するのか?

既存のモード試験市街地、郊外、高速道路の各モードにおいて“一定速度での燃費”を表記するため、渋滞する市街地などアイドリングストップを繰り返す地域では、実燃費のほうが悪くなる傾向だ。

また、燃費計測時にエアコンを使わないことなども加わり、カタログ表記の燃費より実燃費が悪くなるため、燃費性能の乖離をめぐる消費者とメーカーやディーラーの間でトラブルが多発していた。

長城汽車のSUVブランド「HAVAL」から発表された「H6」のハイブリッドモデル(写真:長城汽車)

一方、WLTCモード試験は、低速、中速、高速、超高速の4つの走行パターンにわけられ、全体の平均燃費値とともに、走行パターンごとの燃費値も反映される。また、従来のNEDCに比べて、加減速の試験が多いため、走行時間や走行距離も長くなり、結果的に表記燃費が全体的に悪化することが想定されるのだ。

また、「ダブルクレジット規制」に対応することで、自動車メーカーの製造コストが増加するという影響もあり、中でもエンジンの開発方針の見直しが、メーカー各社にとっては喫緊の課題となっている。

NEDCモード下で、各社は低燃費技術としてターボエンジン車とPHEVを投入してきた。しかし、WLTCモードではターボエンジン車とPHEVの燃費がNEDCモード比で、それぞれ1割、2割悪化するとされる。

中国工業情報省が2018年に試算したデータを見ると、動力源の改善、軽量化、電動化などの低燃費技術を導入することにより、2025年までに燃費を 4.3L/100km(=23.3km/L)に改善できるとすれば、乗用車1 台あたりのコストは27万円増になる。

従って一部の地場自動車メーカーは、その製造コスト増加分を販売価格に転嫁せざるを得ず、価格競争力の低下が懸念されるのだ。その結果、自動車メーカーはEVシフトをさらに促進させると考えられる。

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