東武鉄道の車両、なぜ「魔改造」と呼ばれるのか? 部品自体は60年以上も使用されることがある

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現在の津覇車両は船橋と館林の2拠点に工場があり、土木や建設機械の製造と改造を船橋工場で行い、鉄道車両の更新や改造を館林工場で行っている。館林工場は元館林機関区があった場所だ。

津覇車両工業の銘板(筆者撮影)

ここで行う主な鉄道車両の改造は電気配線、空製配管、外板加工などのリニューアル工事全般である。更新された車内の妻面を見ると社名を記したプレートが掲げられているので注目していただきたい。

ほかにも東武の更新車両を2形式紹介しよう。まずは、6050系である。野岩鉄道・会津鬼怒川線の直通運転に対応するために1985(昭和60)年から製造された車両で、当時運行していた6000系車両からの車体更新である(6000系は1964年に製造された非冷房・不燃化未対策仕様だった)。

6000系からは主電動機、台車、抵抗器など床下回りが流用され、6050系になってからも、走行音などは6000系当時のままである。最近まで快速運用として浅草駅まで乗り入れていたが、南栗橋駅以北の普通列車として運用することになったため、浅草駅に顔を出すことはめったにない。

ちなみに「スカイツリートレイン」の愛称を持つ展望車両「634型」は、6050系をさらに改造したもので、唯一浅草駅まで乗り入れる運用も存在している。この634型の車体更新に関しても花上氏によると、「最初は日光・鬼怒川の観光対応用で造っていたはずが、スカイツリーができて計画が変わった。スカイツリーに特化した車両になってしまった。元の設計がほとんど残らず、全然違う車体になってしまった。ものすごくお金がかかった、新車にしたほうがよかった」ということであった。その後、当初の目的を目指してSL「大樹」が登場したのも頷ける。

20000系は「奇抜?」な改造も

もう1つは20000系。元々は伊勢崎線が直通運転している東京メトロ・日比谷線に対応するために、1988(昭和63)年に製造された18メートル車体・8両固定編成の形式である。のちに扉を5扉に増やした20050型も登場していて、さらにマイナーチェンジとして20070型も登場した。

20050型5扉(筆者撮影)

この20000系シリーズは日比谷線直通用として活躍した後、2018(平成30)年よりローカル線向けに改造され、20400型として運用を開始している。8両編成から4両編成に短縮され、さらにワンマン運転に対応できるように、各種機器を更新・追加している。

また、5扉車両だった20050型に関しては5つの扉のうち、2つをふさぐ改造が行われている。他の鉄道会社ではあまり見られない奇抜な改造車両といえるだろう。

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