東京電力が見せた"再値上げ回避"への覚悟 原発なし、給与引き上げでも第1四半期は経常黒字に
コンバインドサイクル化というのは、ガスタービン発電設備に蒸気タービンと排熱回収ボイラーなどを追加設置して、ガスタービンの排熱を有効利用すること。今年5月から新設備が営業運転を開始した鹿島火力発電所(茨城県)の場合、熱効率は以前の37%から56%へと向上したという。
東電の広瀬直己社長は会見で、「今後もリプレース(設備更新)による効率向上をはじめ、少しでも安い燃料を調達することで燃料費の節減を図っていく」と語った。そのほか、減価償却費の47億円減、支払い利息の25億円減も利益の押し上げにつながった。
給与上げの一方、希望退職実施
一方、人件費は18.5%(156億円)増えている。約半分は退職給与引当金制度の見直しによるもの。残りが、4月以降の社員の処遇制度改変に伴う影響だ。
東電では福島事故後、40代以下の若手人材の流出が増えており、依願退職者は2011年度から2014年6月末までの3年余りで1763人に及ぶ(2011年度465人、2012年度712人、2013年度488人、2014年度第1四半期98人)。
その抑制策として、事故後に約20%引き下げていた社員の年間給与水準を、福島で賠償や除染関連業務にあたる社員は事故前に比べ平均7%減、その他の社員は平均14%減まで戻す。
社員への実際の還元は7月からだが、会計処理上は4月から実施する。広瀬社長は「前期までにコスト削減で超過達成した分の一部(約90億円)を社員へ還元することで、人材流出抑制と組織活性化を図りたい」と話す。
同時に、給与の業績連動を強化する。「以前は業績連動がない会社だったが、これからはメリハリの効いた実力主義に変えていく」(広瀬社長)。
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