顔認識で「誤認逮捕」汚名晴れるまで1年超の悲劇 犯罪捜査で使われる顔認識アルゴリズムの弱点
誤認逮捕の悲劇
2014年、スティーヴ・タリーは南デンバーの自宅で眠っていた。すると、玄関のドアをたたく音が響いた。ドアを開けると、男が立っており、車をタリーの車にぶつけてしまったので外に出て確認してほしい、と言った。
渋々言われたとおりにしたタリーが傷を確かめようとしゃがみこんだ瞬間、閃光弾が投げられ、3人の男が現れてタリーを殴り倒した。ひとりが頭を踏みつけ、ひとりが腕を縛り、もうひとりが銃床で殴りつづけた。
タリーは神経を損傷し、血栓ができて、ペニスが折れる大怪我を負った。「まさかペニスが折れるものだとは、知りもしなかった」。彼はのちに記者に語った。「警察を呼んでくれ、と叫んでいた。でも、気づいたんだ、おれをぶちのめしてるのが警官だって」。
2件の銀行強盗事件の容疑者として逮捕されたタリーは、「おまえらはいかれてる」と叫んだ。
「人ちがいだ!」
その言葉はうそではなかった。タリーが逮捕されたのは、本物の銀行強盗にそっくりだったからだ。


















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