10分間隔なのに20分待ち?列車ダイヤに潜む「穴」 等間隔でも「乗り遅れたらヤバい」列車がある
一見すると等間隔のダイヤなのに目的地によっては一部の列車が使えないという例はほかにもある。上野発の常磐線下り快速電車は日中、毎時02分を基準に10分おき(02・12・22・32・42・52分)に発車するが、天王台と取手へ行く場合は毎時42分発の列車が使えない。
なぜ天王台と取手に行く場合は42分発の列車が使えないかというと、この列車は我孫子から成田線に直通するためだ。取手方面に行くためには我孫子で後から来る上野駅52分発の快速に乗り継ぐことになる。つまり32分発を逃すと実質20分待ちになる。
実はこれは、鉄道工学の第一人者である曽根悟・東京大学名誉教授に直接伺った例だ。曽根名誉教授は「このタイミングだけ、我孫子折り返しの常磐線各駅停車を取手へ延長できないのか」と話していた。
西武池袋線の「乗り遅れたらヤバい列車」
私鉄でもこういった例はある。西武池袋線所沢駅では、概ね10分おきに都心方面への速達列車が出ている(有料の特急を除く)。
19分発:準急 池袋行き
25分発:準急 新木場行き
29分発:快速急行 元町・中華街行き
38分発:急行 池袋行き
49分発:急行 池袋行き
52分発:準急 池袋行き
54分発:準急 新木場行き
59分発:快速急行 元町・中華街行き
09分・19分…とほぼ10分おきのパターンを崩さず、そのうえでさらに列車を走らせていて1時間に9本を確保しており、便利そうに見える。
だが、池袋行きの準急(19分・52分)は練馬で後続の快速急行に追いつかれてしまう。また、新木場行きの準急(25分・54分)は地下鉄直通であるものの、地下鉄方面と池袋方面の乗り換え駅である練馬には後続の快速急行が先に着く。
そうすると、池袋まで最速で行ける列車は実質的に09・29・38・49・59分発と、12分発の各駅停車のみだ。19分の準急は乗り換えなしで池袋まで行けるメリットはあるものの、練馬で29分発の快速急行に追いつかれてしまうので、10分待って快速急行に乗っても結局池袋の到着時間は同じだ。つまり、09分から29分までは実質的に20分開いてしまうのだ。ということは毎時09分発の急行は「乗り遅れたらヤバイ列車」である。
ただ、毎時22分には池袋行きの有料特急「ちちぶ」がある。所沢駅で09分の急行を逃したら、29分の快速急行で遅れに甘んじるか、特急料金を払って間に合わせるかの選択を迫られることになる。
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