欧州大水害、国際鉄道網に与えた被害の深刻度 ドイツで600kmが被災、気候変動のリスク顕在化

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オーストリア国境に近い南ドイツでも被害が確認され、両国国境に近いミッテンヴァルト周辺地域は道路も含めて寸断された状態となっている。

線路に土砂が流入したドイツのドレスデン近郊。本線(右側2つの線路)が使えないため列車は貨物用の側線(手前)を通して運行している(筆者撮影)

また、チェコ国境に近いエルベ川周辺でも土砂流入などの被害が確認され、復旧作業のため複線の片側1線だけを使った交互通行を余儀なくされ、物流に大きな障害が生じている。

列車の運休や運行区間変更(白地の部分)などを知らせるドレスデン中央駅の案内板(筆者撮影)

ベルギーの鉄道は南部でとくに大きな被害が出ており、同国鉄道のインフラ部門インフラベル(Infrabel)は状況によっては8月まで運休となる区間もあると述べている。とくに、ドイツとの間を結ぶ幹線に位置するリエージュ―ペパンステ間は、橋梁に大きな損傷が見つかり、その修復のために少なくとも8月30日まで運行再開の見込みはないとの見解を示した。

同路線は首都ブリュッセルとドイツの都市ケルンを結ぶ重要幹線上に位置するため、旅客・貨物輸送ともに大きな影響を受けることが予想される。

気候変動リスクに対応できず

オランダの鉄道は、ドイツ国境に近いマーストリヒトとベルギー国境を結ぶルートが寸断。オーストリアは前述のミッテンヴァルト―ゼーフェルト間のドイツ国境周辺地域のほか、ウィーンやインスブルックとドイツ方面を結ぶ国際幹線ルートのクーフシュタイン―ヴェルグル間も被災の影響で運行本数が削減されている。

ドイツのケルン付近では洪水で地面がえぐり取られた(写真:Abdul Karim/iStock)

ドイツの専門家や政策当局者からは、今回の災害は気候変動がもたらしたものと指摘する声が出ており、高まる気候変動のリスクに対し、都市やインフラの構造面で十分な対策が採られていなかったことが被害の拡大に繋がったと指摘している。

ヨーロッパでは、2013年にも多くの犠牲者を出す水害が発生したが、今回はそれをはるかに上回る規模となった。ドイツのゼーホーファー内相は過去に経験したことがない災害だったと述べた。実際、被災地域ではわずか3時間程度で水位が急上昇し、多くの住民が逃げる間もなく濁流に飲まれ、命を落とした。

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