ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件 楠木建著 たっぷり、丁寧に未来を創り出す戦略論

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本書では企業の事例がふんだんに紹介される。サウスウエスト航空、デル、スターバックス、セブン−イレブンといった有名企業だけでなく、マブチモーター、ガリバーインターナショナルという玄人受けする企業までが取り上げられる。しかも著者は、類書のように優良企業の成功要因を手際よく断片的に取り上げるということをしない。各社の戦略をたっぷり、じっくり、丁寧に「戦略ストーリー3要素」の視点から読み解いていく。本書が500ページに及ぶ大著となっていることはそれと無関係ではない。

著者は本書を最初から順を追って読み進め、最後まで読みきってほしいと強く希望する。評者も著者の指示どおりに本書を読み進めることを読者に勧めたい。そうすることが本書の価値を引き出す最も効果的、かつ効率的な方法だと思うからである。著者が書きたいと長年追い求めていたものはこれだったのか。本書を読み終えた時、筆者がこれまで費やしてきた長き時間の意味を共感的に理解することができる。

経営戦略に関する書籍は、著者の個性が出ているものほど良書が多い。その意味で本書は、明るく創造的な著者の人柄と重なり、過去を分析する戦略論ではなく未来を創り出す戦略論となっている。

くすのき・けん
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。専攻は競争戦略とイノベーション。1964年東京都生まれ。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。

東洋経済新報社 2940円 500ページ

    

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