信越化学・金川社長退任、カリスマ経営者の難題、社長交代でも体制維持


 「刻々と変化する市況はつねにすべて頭に入っている」。側近の一人は言う。需要を読み、ここぞという時期に仕掛けた大型設備投資や研究開発が、次々成功を収めてきた。「その金川氏が経営に関与しなくなるのは悪材料」とある銀行系投資顧問のファンドマネジャーは話す。社内でも「会長で残っていただくと心強い」(信越化学労働組合の高橋義光中央執行委員長)と信頼が厚い。

突出した経営者を頂く企業のトップ交代は難しい。若返りを図っても結局カリスマが社長業に復帰する例もある。たとえばファーストリテイリングの柳井正氏や自動車大手スズキの鈴木修氏がそうだ。

金川社長は経営や株価への悪影響を無視できず、“軟着陸”を狙って段階的な権限委譲を進めている、と見ることもできる。「若い頃にはまった株式投資やパチンコなどで得た経験が会社の仕事に役立った」と記す同社長の著書では、その教訓の一つとして「引き際を見極める難しさ」を挙げている。カリスマ経営者はその最後の難題に挑む。

■信越化学工業の業績予想、会社概要はこちら


(武政秀明 =週刊東洋経済2010年6月5日号)

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