「認定事実」についても、納得しづらい。
早稲田大学の学位取り消しの規定が「不正な方法で学位を取得した場合」となっており、調査委員会では「不正」とは「違法」であることと定義づけた。序文をはじめとする文章の大量コピペや複数の画像の盗用が著作権法違反と認定された。
「草稿を間違って製本した」という言い分を認める?!
にもかかわらず、「取り消し」という結論に至らなかったのは、「提出された論文は草稿を間違って製本したものであり、真正な論文が別途存在する」という小保方氏の弁明を認めたからだ。調査委員会に提出された「真正な論文」には盗用画像はなかった。真正な論文に盗用画像がない以上、不正は行われなかった、と言うわけだ。
しかし、その「真正な論文」そのものが、いったいいつの時点で書かれたものか明らかではない。調査委員会は「真正な論文」のデータを送るよう依頼したと言うが、まず5月27日に郵送されてきたのは、紙にプリントアウトされたもの。これでは執筆時期がいつかわからず、真正な論文である証拠にはならない。
調査委員会による小保方氏に対する90分間のヒアリングが行われた2日後の6月24日になって、ようやくメールに添付したワードファイルが弁護士経由で送られてきたが、あろうことか送信の1時間前に修正されたものだった。ワード文書では、最初の作成日と最終更新日のみしかわからない。上書きしたデータの過去の修正履歴は消去可能だからだ。
常識的に見て、これを博士論文審査当時に書かれた「真正な論文」と見なすことには無理がある。にもかかわらずこれを真正な論文と認定した理由は、すでに大量のコピー&ペーストの指摘を受けているのに、修正できるはずの序文を修正していなかったからだとしている。
仮に小保方氏の言い分を認めるとしても、「真正でない博士論文」を提出して与えられた博士号は有効なのだろうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら