ワクチン「打つ・打たない」決める重要なポイント 強要されるのではなく、自分で決めるのが大事

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自分で決めるのは勇気がいることです。それでも、行政に強制されたりや誰かに言われたりしたからではなく、何か起きた時に「自分の意志だから」と言えるだけの覚悟を持つことが大切です。

副反応に関して、過剰にビクつかないために、1つ知っておいてほしい問題があります。

「打った=かからない」ではない

それは「紛れ込みの有害事象」です。大勢の人がワクチンを接種すると、翌日に亡くなる人が必ず出てきます。高齢者の接種が増えればなおさらです。冷静に考えれば、亡くなる人が出ても当たり前だとわかります。なぜなら、ワクチンとは関係なく日本国内では1日に3800人ほどが亡くなっているからです。

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事故や事件で亡くなる人もいれば、老衰や心筋梗塞、脳梗塞、末期癌などなど、原因は人それぞれです。慢性疾患で闘病中の人で直前まで元気でも急に亡くなることがあります。そういった状況の中でワクチン接種が始まると、ワクチンとは無関係でもたまたま接種の直後に亡くなるケースが出てきます。

そうなると、たとえこの現象があることを知っていたとしても、家族からすれば「接種の次の日におじいちゃんが死んじゃった」と、ワクチンとの関係を疑いたくなるものです。中にはもしかしたら本当に、ワクチン接種が引き金となった死亡例もあるかもし れません。本当にワクチンのせいなのか、それとも違うのか、その答えを出すのはとても難しい問題です。

ただ、もし「ワクチン接種した人が亡くなった」というニュースを耳にしたら、すぐにワクチンが原因と決めつけて怯えるのではなく、冷静に受け止めてほしいと思います。

最後にひとつ言っておくべきことがあります。それは、ワクチンも、特に気道上皮で増えるウイルスに対するワクチンの場合は、インフルエンザワクチンを考えればわかりやすいと思いますが、打ったことが必ずしも「もうかからない」ということを意味しません。

実際ワクチンの2回接種を終えた高齢者施設で流行が起きたアメリカの報告があります。ただ、重症化の阻止には役立っていたとのことですので安心してください。要は、①ワクチンを打っても油断禁物 、②高齢者や免疫力が弱っている人の場合は、効果は低めになりやすいので注意 、③よって、高齢者周辺で高齢者を世話する人たちがワクチンを受けることが大事、ということをよく知っておいてください。なお、これらは、すべてインフルエンザワクチンで経験済みのことです。

西村 秀一 国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルス疾患研究室長

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にしむらひでかず / Hidekazu Nishimura

1955年山形県生まれ。専門は呼吸器系ウイルス感染症、特にインフルエンザ。呼吸器系ウイルス感染症研究の日本における中心人物のひとり。

1984年山形大学医学部医学科卒業。医学博士。同大細菌学教室助手を経て、1994年4月から米National Research Councilのフェローとして、米国ジョージア州アトランタにあるCDC(疾病対策センター)のインフルエンザ部門で研究に従事。1996年12月に帰国後、国立感染症研究所ウイルス一部主任研究官を経て、2000年4月より現職。著書に井上亮編『新型コロナ「正しく恐れる」』がある。

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