うまく機能している組織は、どこが違うのか?
――マルケさんから見て、リーダーシップがよく機能していると思う具体的な事例を挙げていただけますか?
これまでの組織では、現場で働く人間が経営陣に情報を上げ、情報を受け取った経営陣が決断を下すというのが一般的でした。ですがこのやり方では、先に述べたように、遅れや誤解が生まれかねません。そこで、情報と経営陣との距離を迅速かつ効果的にどう近づけるか、という課題が生じます。
これはどの企業にも共通する問題です。残念ながら、従来のやり方は、21世紀ではもう通用しないでしょう。では、これからどうなるのか。
これからは、情報があるところへ権限を下ろす時代です。繰り返しになりますが、情報を実際に手にしている者に決定権を与えるのです。具体例を2つ紹介しましょう。
2カ月ほど前、北京を訪れていた私は、とあるレストランで食事をしました。空港へ向かう途中だったので大きな荷物を持っていたのですが、その店の店員は、私にどんなサービスをしてくれたか。
給仕のサービスが素晴らしいのはもちろんのこと、食事が終わるまで荷物を預かってくれたうえに、レストランを出るべき時間にまで気を配ってくれました。
この店員は、私が望んでいることを理解していると、行動で示したのです。ここで重要なのは「行動で示した」という部分です。私が望むことを察したうえで、それを行動に移すことができたのはなぜか?
私は、店員の一人に話を聞きました。すると、この店では、客のために必要だと思うことを店員が各自で判断し実践してよい、とのことでした。これこそが、「情報を持つ者へ権限を下ろす」ということです。
客と直接顔を合わせる店員は、客が何を必要としているかを知っています。その彼らに対し、客に満足してもらうために必要なサービスを行う権限を与えているのです。このレストランの名前はハイダイラオです。<訳注:おそらくこちらのこと>
http://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g308272-d2399881-Reviews-Hai_Di_Lao_Hotpot-Shanghai.html〉
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