「不動産投資に失敗する人」が見逃している重要点 表面利回りだけ見て物件購入を決めていないか

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このNOIが物件の本当の収益力を表しています。捉え方としては、物件を現金購入した場合の、投資家が受け取る「税引前キャッシュフロー(以下、税引前CF)」となります。税金を支払う前の手取り収入ということです。実際は、多くの投資家は融資を受けて物件を購入しますので、最終的な税引前CFは金融機関への元金と利息の返済金額を引いた金額です。

税引前CF=NOI-元利返済額

不動産投資・賃貸経営を始めるにあたり、最低限ここまでは収支計算をしなければなりません。そして、ここから所得税・住民税・法人税などを引いたものが、「税引後キャッシュフロー(以下、税引後CF)」です。

税引後CF=税引前CF-納税金額

ここまでの解説で、年間満室想定賃料をベースにした表面利回りという指標では投資利回りの本質を表していないことがわかります。

一番厳しい条件で導き出した利回り

では、意味のある本当の利回りはどういったものか。それは、NOIを物件金額に購入諸費用を加えた総投資金額で除算して求められる「総収益率(FCR:Free and Clear Return)」です。

総収益率(FCR)【%】=NOI÷総投資金額(物件金額+購入諸費用)

ポイントは、物件金額で除算するのではなく、「購入時に投下したすべての金額」で除算することです。FCRは大雑把に「ネット利回り」ともいわれているのでご存じの方も多いのではないでしょうか(正確にはネット利回りは、NOIを物件金額で除した値と定義されるので厳密には異なります)。このFCRが一番厳しい条件で導き出された利回りであり、この数値で投資判断することが大前提となります。

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冒頭にお話しした不動産投資がローリスクといわれるのは、適切な投資判断を前提としていることを忘れてはいけません。間違った購入の仕方をすれば、ハイリスクに豹変します。

今までお話ししてきた、利回りの話を知らないと、「そもそも物件の選定が間違ってしまう」、「表面利回りなど上辺の情報に騙される」、「セールストークにのせられて、安易に物件を購入してしまう」といった事態が発生してしまいます。

不動産投資で重要なのは、正確なシミュレーションを行い、利益が出るかをシビアに見定めることです。不動産投資を考えている方は、今回ご紹介した指標も合わせながら検討してみてください。皆さんの投資がうまくいくことを願っています。

藤原 正明 大和財託 代表取締役CEO

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ふじわら まさあき
1980年生まれ。三井不動産レジデンシャル株式会社を経て、収益不動産の売買・賃貸管理を行うベンチャー企業で収益不動産の売買仲介および賃貸管理業務についての実務経験を積む。2013年に独立して大和財託株式会社を設立。東京・大阪で収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を展開。コンサルティングから物件提供・建築、運用・賃貸管理、売却まで一貫した資産運用をサポートしている。
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