ライブドアの株主重視とは?
結局、ライブドアによるニッポン放送買収騒動は、実質的にライブドアによる1240億円の増資とフジテレビとの業務提携協議という結果に終わった。
ライブドアのようなM&Aに積極的な会社が巨額の現金を得たことは、非常にハッピーなことだろう。企業の安全性も高まり、倒産リスクなどまったく感じる必要もない。しかし、これは本当に良いことなのか。
ライブドアは規模が小さいにもかかわらず、資本市場を活用し巨額の資金調達を成功してきた。また、プロ野球や放送局の買収により知名度を一躍向上させた。実体以上に成り上がるライブドアのこうした手法を週刊東洋経済4月23日号でテコ活用(レバレッジド)経営と評した。
が、資本効率から見ると、ライブドアの経営は高レバレッジどころか逆レバレッジ経営である。小さな自己資本と大きな借り入れを使って、リターンを生み出すことで、高い資本効率を実現することをレバレッジというが、ライブドアは逆に自己資本をひたすら膨張させているからだ。
ライブドアの自己資本は04年9月末で535億円と潤沢だ。ただし、これは事業利益を積み上げてきたものではなく、増資(それも分割でつり上った株価で可能になった巨額の増資)で株式市場から調達したもの。さらに今回のMSCB、フジへの増資により1240億円が加わることになる。
つまり、1800億円近い自己資本を持つことになる。ヤフーのROEは46.9%(05年3月期)。ライブドアが資本効率でヤフー並みになるには800億円強の純利益を稼がなくてはならない。
ライブドアはフジサンケイグループとの戦いによって1470億円の現金を得たが、この現金をよほど効率的に使わない限り、ROEで見れば失格である。