なぜか横浜駅の1つ手前で折り返す「横浜線」の謎 看板に偽りあり?とくに朝夕に乗り入れ少ない

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横浜に直通する横浜線の列車は、京浜東北線の線路を間借りしている都合で直通列車の本数を増やすことが難しいと先に触れた。だが、それは本当だろうか。

京浜東北線の時刻表を見ると、大幅に列車本数を増やしているのはラッシュのピークの1~2時間程度だ。それ以外は日中の列車本数プラスアルファで、限界というほどでもない。一方で横浜線の時刻表を見ると、横浜へ直通している列車は日中の設定が圧倒的に多く、早朝や夜間は少ない。ラッシュの時間帯に横浜線の列車をすべて直通させるのは困難だが、早朝・夜間は列車の本数が少ないはずで、横浜に直通する列車を増やすことはできるのではないだろうか。

横浜へ直通している横浜線の列車では、横浜を通り越して1つ先の桜木町で折り返している列車が多い。横浜の京浜東北線の線路には列車を折り返しさせる設備がなく、横浜線用の線路やホームを設けられるような敷地の余裕がない。京浜東北線は、横浜から先で路線の名前が根岸線と変わるが、根岸線で列車の折り返しが可能な駅は、先の桜木町に加え、磯子と終点の大船だけだ。横浜線からの直通列車も桜木町行きのほか、磯子行きや大船行きもあり、京浜東北線の列車にも桜木町・磯子・大船行きが設定されている。

横浜乗り入れのメリットとデメリットをどう判断するか

日中に限ると、横浜線からの直通列車が桜木町で折り返しているほか、京浜東北線の列車が磯子と大船で折り返すことで輸送力を調整している。全部の列車が大船に行ってしまうとガラガラな列車ばかりとなり、列車運行に無駄なコストを費やしてしまうが、こうして折り返しの場所を集約することで運行コストの適正化とともに、運行管理が単純化されている。

ところが、日中以外では京浜東北線にも桜木町行きが走るほか、横浜線からの直通列車にも磯子行きや大船行きが設定され、列車運行が複雑になっている。時間帯によっては京浜東北線の桜木町行きが頻繁に設定されていて、横浜線からの直通列車が走れる余地がない。京浜東北線の桜木町行きを磯子行きに延長すれば解決するが、横浜線からの直通列車を増やすことともに、列車の運行距離が長くなることでコストが増してしまう。JRから見れば、利便性を改善する動機づけがないとも言えるのかもしれない。

あらためて考えてみると、やり方次第では横浜線の「1つ手前の折返し」を軽減することができそうだ。だが、JRから見ればコストアップになるうえに、運行管理上の負担が増える結果となるのだが、どうやって折り合いをつけるかが課題となるのだろう。

柴田 東吾 鉄道趣味ライター

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しばた とうご / Tougo Shibata

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR・私鉄路線は一通り踏破したが、2019年に沖縄モノレール「ゆいレール」が延伸して返上、現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。『Rail Magazine』(ネコ・パブリッシング)や『鉄道ジャーナル』など、寄稿多数。

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