胃を切除した人の「退院後の食事」で大事なこと 恐れすぎず焦らず「階段状に」食事量を増やそう

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

手術の後だから食欲もないし、食べる量が少なくて当然、ということはありません。手術後だからこそ、傷も治さなければいけないし、体力も落ちているので、なおさら十分に栄養を摂る必要があります。

食事量や食べられる食品の目安は、前述のように入院中の食事をスタート点として、ひと口ずつ増やしていきますが、その増え方には大きな個人差があります。何を食べるにも慎重で、なかなか食事量を増やせない慎重派もいれば、退院直後から平気で普通食を食べてしまう大胆派もいますが、一番重要なのは、自分のペースで体調と相談しながら食事にのぞむ姿勢です。

個人差は個人差として認めつつ、また食べ方の基本は守りながら、少し破目をはずして食べてしまったり、反省して用心深くなったり。小さな失敗を繰り返しながら手探りで、徐々に普通の食べ方・食事量に戻していってください。

しかし、失敗を恐れずといっても、下痢をしているのに油物や刺激物をたくさん食べ続けるのはいかがなものかと思います。下痢が続くと脱水状態に陥る危険がありますので、油物や刺激物を控え、まずは腸の安静に努めましょう。

また、いつまでも失敗を恐れて手術前の半分くらいの食事量を続けたのでは栄養不足が続き、体重はなかなか増えず、仕事や日常生活にも影響があります。徐々に食事量を増やし、少しずつでも体重を増やしていくことは、とても重要な課題です。

楽しく食べて手術後のQOLを保とう

胃がんの手術をした後は、まだまだ栄養が少ない日が続きますので、ある程度、体重が減少するのが普通です。中には手術前に比べて5~10㎏くらい減る人もいますが、ある程度まで減って、食事量が必要なエネルギーと同じ程度になったところで体重は下げ止まります。その後、食事量が戻るにつれて、少しずつ元に戻っていきます。

しかし、量は増えてきても消化能力が低下しているため、食事量が思うように体重に反映されず、元の体重まで戻らない場合も少なくありません。なかなか体重が増えないことが気になる場合には、手軽に口にすることができ、少量で高カロリー・高栄養の栄養補助食品なども活用してみましょう。味や形状にもバラエティが増え、不足しがちなたんぱく質やカルシウム、鉄、食物繊維などを効率よく補ってくれる食品も多くなっています。

体重は手術前まで戻っていなくても、おいしく食事が進み、立ち歩いてフラフラしたりすることもなく、仕事も家事も元気にこなせて、日常生活が差し支えなく過ごせているならば、焦る必要はありません。楽しく食べて体重と体力を保ち、快適なQOL(クオリティ・オブ・ ライフ=生活の質)を維持していきましょう。

次ページ 消化がよいものを中心に、決め手は量と食べ方
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事