「社内炭素価格」を取り入れる企業が増えるわけ 脱炭素の動きに対応、課題は投資判断への反映

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帝人では、海外事業の一部がすでにCPの影響を受けている。環境問題で先進的なEUでは、事業内容や規模次第でCO2の排出量に上限規制が課される。規制の上限を超えた分は他社から排出権を買ってCO2の排出量を帳消ししなければならず、超過分は1トンあたり100ユーロ(約1万3200円)の罰金が科される。

帝人がドイツで展開している炭素繊維工場は、この排出上限の対象事業に該当する。排出量の上限を超過しているため、毎年、排出権を購入(金額は非公表)することで規制をクリアしているという。

脱炭素シフトで排出権価格が高騰

将来、CO2の排出に伴って企業が負担するコストはかなりのレベルまで上昇していきそうだ。CPの導入エリアが広がっているうえ、CPの対象になる事業も増えていく。

さらに、排出権も高騰する可能性が高い。2020年に1トン当たり20~30ユーロで推移していた排出権は、世界的な脱炭素化シフトの影響を受けて、足元では40ユーロ(約5300円)前後まで跳ね上がっている。

帝人はICPを1トンあたり6000円に設定するが、これは排出権の相場等を参考にして決めたものという。大崎氏は「CPの対象やエリアが広がれば排出権は奪い合いになる。罰金の100ユーロを超えることはないが、そこを上限にかなりのところまで排出権の相場は上がるのではないか」と話す。

同社はこうした見通しも念頭に、ICPを使った投資判断を積み重ねて、先回りして将来的なCO2の排出抑制を目指す。

一昔前は、企業が環境に配慮するのは社会貢献の意味合いが多かった。だが、この2~3年はCP拡大の流れが加速し、CO2抑制は企業の経営に関わる問題になっている。その結果、帝人のように経営戦略としてICPの導入に踏み切る企業が増加している。

環境省によると、2020年3月時点での日本のICPの導入企業社数は118社でまだ少数派だが、世界ではアメリカ(122社)に次いで多い。2022年には250社程度まで増える見通しだ。

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