景気支援か、バブル警戒か、板挟みの米FRB議長

潜在的な危険に若干警戒を強めている発言も

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、「フロシー(泡立っている)」と見受けられる株価や金融市場の潜在的な不均衡から生じるリスクについて、「対処は可能」だとの考えを示した。しかし、金融当局関係者の一部はそれほど確信を持てずにいる。

そうした疑念の背景には、米金融当局の超低金利政策や多額の債券購入が資産価格のバブルに加え、リスクテークやレバレッジの行き過ぎにつながり、やがて経済に大きなダメージをもたらしかねないという懸念がある。

パウエル議長としても、新型コロナウイルス禍からの米経済と労働市場の回復を支援するため緩和的な金融環境を望む一方、2001年のハイテクバブルや07年の住宅バブルの崩壊時のようなリセッション(景気後退)の危険性も認識しており、金融市場を巡って板挟みの状態に置かれている。

ダラス連銀のカプラン総裁は4月30日、「金融市場で行き過ぎや不均衡が見られる段階になった」と述べるとともに、「それに対して私は非常に注意を払っており、だからこそできるだけ早期に資産購入の調整について話し始めることが適切になると考えている」と語った。

また、ボストン連銀のローゼングレン総裁は5日のウェビナーで、資産価格にはまだ「異常な上昇傾向」は見られないとしつつも、刺激策縮小に極めて辛抱強く臨む米金融当局の姿勢によって、そうした状況になる可能性はあるとの見方を示唆し、「まだ超低金利のままで来年末までに完全雇用状態となれば、金融市場の動向を注視することなる」と話した。

ワシントンのFRB本部Photographer: Samuel Corum/Bloomberg

パウエル議長自身は、回復途上の米経済への支援策を縮小する構えは一切示していない。だが、このところの発言からは、金融安定性に対する潜在的な危険に若干警戒を強めている様子もうかがわれる。

先月28日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でパウエル議長は、「資本市場ではややフロシーな状態が見られる」とし、「資産価格の幾つかは高い」との認識を示した。今年早い段階では資産価格が高水準にあると表現するのを避けていただけに、議長の発言を受けて投資家の間には驚きが広がった。

元FRB理事で現在はハーバード大学教授のジェレミー・スタイン氏は「投機的な市場は扱いにくく、対処は難しい」と語り、投資家がインフレ高進のリスクにとらわれている場合は特にそうだと強調した。

原題:‘Frothy’ Stock Prices Pose Quandary for Powell in Mapping Policy(抜粋)

著者:Rich Miller

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