菅首相「五輪ファースト」に募る不安と不信 背景に五輪開催と次期衆院選にらんだ再選戦略
5者会談ではバッハ会長や小池百合子都知事らが、コロナ対策のための五輪会場の観客制限について話し合った。その結果、予定していた4月中の判断は見送り、6月にコロナの感染状況を見極め、国内スポーツイベントなどの上限規制に準じて判断することで合意した。
橋本聖子大会組織委会長は会談後の記者会見で、「無観客という覚悟は持っているが、状況が許せば多くの観客の皆さんに見ていただきたい希望もある」としながらも、「医療に支障を来すような状況になれば(無観客も)決断しないといけない」と語った。
波紋を呼んだ尾身会長の発言
政府は東京などへの三度目の宣言発令に合わせて、対象地域での大規模イベントは原則無観客での実施を求めている。このため、政府部内では「結局、五輪開催も無観客にせざるをえない」(厚生労働省幹部)との声が広がる。
4月28日の衆院厚生労働委員会では、政府コロナ対策本部の尾身茂会長が、「(五輪開催の)関係者が感染のレベルなどを踏まえて議論をしっかりやるべき時期に来ている」と五輪開催の是非そのものを議論すべきだと発言して波紋を広げた。
尾身氏はこれまで、「開催については答える立場にない」と繰り返してきた。しかし、28日には「(政府との意見交換が)個人的には二、三度あり、つい最近もあった」としたうえで、「世界では感染が非常に広がっており、(五輪)開催のリスクは当然ある。医療の逼迫状況も考えたうえで国民に知らせるのが組織委、関係者の責任ではないかと申し上げた」と明かした。
ただ、これまで国内の関係組織のトップが開催の可否について非公式にも本格協議した形跡はない。
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