ワクチン接種遅延が新興アジア回復の最大脅威 新興アジア成長率予想を上方修正したADBの懸念
アジア開発銀行(ADB)の浅川雅嗣総裁は、新型コロナウイルスワクチン需給の「巨大ギャップ」が新興アジア全般の景気持ち直しを脅かしているとみている。
浅川総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ワクチンの生産能力を高めるため「域内のワクチン製造会社にもっと投資する必要がある」と述べた。
総裁によれば、ADBはワクチン生産を支援するための資金提供を進めている。ADBが昨年12月に承認した90億ドル(約9800億円)規模の「アジア太平洋ワクチンアクセスファシリティー(APVAX)」は、インドネシアとフィリピン、アフガニスタン、南太平洋の島しょ国向けに資金提供を認めた。
米国の経済政策正常化は通貨ショックにつながる可能性
浅川総裁は、域内のワクチン接種遅延と感染再拡大の継続的脅威が「非常に多くの下振れリスク」の最上位に来ると指摘。ADBは今週、今年の新興アジア経済成長率見通しを7.3%に上方修正した。前年水準が低かったことに加え、中国とインドという「2つの大国」が景気回復を主導するだろうと総裁は話した。
また総裁は、新型コロナに対応した景気刺激策に伴う公的債務の増大への懸念を示した。米国の政策正常化はアジアからの大きな資本流出と通貨ショックにつながる可能性があり、「特に米ドル建ての場合、公的債務の蓄積は懸念」だと語った。
さらに、ヘルス・教育分野で「人間に投資する」必要性にも言及。グリーンインフラストラクチャーもADBにとって景気回復支援の優先課題だとし、2019-30年に気候関連ファイナンス800億ドルを提供する目標に触れた。
原題:‘Huge Gap’ on Vaccine Access Cramps Asia Rebound, ADB Chief Says(抜粋)
著者:Michelle Jamrisko
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