4.25トリプル選全敗、高まる「反自民」のうねり

与党内に広がる「菅では選挙を戦えない」との声

その一方で選挙の最高責任者の菅首相や二階俊博幹事長は党本部に姿を見せず、結果判明時のコメントも出さなかった。

広島の再選挙につながった前回参院選での河井氏の買収事件は、二階派所属の河井氏と岸田派重鎮の溝手顕正元参院幹事長による熾烈な保守分裂選挙がもたらしたもので、自民広島県連も菅首相や二階氏の現地入りを拒否していた。

今回の再選挙は岸田派による遺恨試合ともなり、前回選挙で河井氏に肩入れした自民幹部は地元県連の反発に配慮して現地入りを見送るケースが相次いだ。党執行部内にも「敗北は岸田氏の自己責任」との突き放した声も出ている。

都議選とのダブル選はほぼ不可能に

次期衆院選に命運が懸かる菅首相にとっても、「広島での敗北は大きな打撃」(自民幹部)となる。今国会終盤の衆院解散断行による7月の東京都議選とのダブル選という選択肢も、「政治的には今回の自民全敗でほぼ不可能になった」(閣僚経験者)との声が支配的だ。

広島での敗北は、次期総裁選出馬を目指す岸田文雄前政調会長にも大きなダメージとなった。広島は池田勇人元首相以来の「宏池会(岸田派)の天領」とされ、現在も県選出の自民党国会議員の半数が岸田派所属だ。今回選挙で岸田氏は告示前から地元に張り付き、岸田派の所属議員や秘書団も大量投入して「宏池会選挙」を展開したうえでの敗北だからだ。

岸田氏は25日夜「素晴らしい候補者に恵まれながら、選挙戦を勝ち抜くことができなかった。力不足をお詫びしなければならない」と沈痛な表情で頭を下げた。記者団からの責任を問う声にも「結果を出せなかったことは申し訳ない。それに尽きる」と言葉少なで、選挙に協力的ではなかった菅首相や二階氏への恨み言は封印した。

岸田氏周辺には「菅首相や二階氏による岸田つぶしにやられた」(側近)との怒りの声も少なくない。ただ、党内には「これで、岸田氏のポスト菅の目はなくなった」と冷笑する声と、「岸田氏はよく頑張った」との同情論が交錯する。「ゼロから出直して戦う政治家に変身する、いいチャンス」(自民長老)との見方も出る。

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