専門家も心配「ハリス副大統領」背負った超難題 コロナでも中米からの移民が減らないワケ

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もう1つは若者が構成している暴力組織の横行だ。この組織は2つある。「マラ・サルバトゥルチャ13(M-13)」と「バリオ18(B-18)」だ。中米が国ごとに内戦下にあった当時幼少だった彼らは戦闘員が暴力を振るったり、拷問で虐待行為に走っていたのを目撃していた。

彼らが親に連れられてアメリカに渡った後、社会で差別されると自らを守るために、内戦で見た虐待行為などを真似て暴力を振るうようになっていた。それに手を焼いたアメリカは彼らをそれぞれ本国に送還した。 

中米3カ国に年間1億ドルずつ提供してきたが…

その数は5年前のスペイン電子紙「エル・コンフィデンシアル」(2016年11月15日付)で記載されている。それによると、1996年から2004の期間に彼らの出身国である中米3カ国エルサルバドルに8万7031人、ホンジュラス10万6826人、グアテマラ6万4312人をそれぞれ送還された。その後、彼らがこの3カ国で暴力組織として市民に暴行、犯罪、誘拐などを犯していったのである。

例えば、M-13が最も活発に活動しているエルサルバドルでは、そのメンバーは現在約10万人いるとみられている。しかも、彼らを支援・協力している人たちが100万人いるというのである。人口が750万人の国で110万人が犯罪に加担しているのが真実であれば、これは非常事態と言える。

アメリカは2017年から毎年各国に1億ドル前後の支援金を提供してきているが、流民の減少にはまったくつながっていない。それもそのはず。多くが政治家の賄賂などに消えているとされるのだ。

バイデン政権は議会の承認を得て40億ドルを3カ国の経済発展に投入する考えだが、この資金が「正しく」使われるためには、ハリス副大統領がきちんとコントロールしなければならない。

ハリス副大統領が与えられた使命を果たすのは容易ではない。むしろ、彼女の今後の政界での成長を挫く要因になりかねない。しかし、トランプ前政権の関係国への脅しと押し付けとは異なり、組織的な動きができるのは間違いないだろう。

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