ニトリ、自信満々の「島忠統合」に消えない懸念 アパレルに飲食店、多角化の明暗占う試金石
「これからはまったくの異業種でも、流通業なら積極的にM&Aを含めて考えたい。可能性があるものはどんどんやる」。3月31日に都内で開かれた、国内家具最大手・ニトリホールディングスの決算会見。その席上、似鳥昭雄会長は業容拡大に対する強い意欲をにじませた。
同日発表された2021年2月期決算によれば、ニトリは34期連続となる増収増益を達成。郊外路面店とネット通販で巣ごもり需要をつかみ、キッチン・収納用品、在宅ワーク用家具の売れ行きが好調だった。
島忠統合に「ぜひ期待いただきたい」
今2022年2月期は今年1月に子会社化したホームセンター大手の島忠が加わり、売上高8736億円(前期比21.9%増)、営業利益1439億円(同4.5%増)を計画。既存事業ではコロナ特需の反動減を見込むほか、海外生産商品の輸入に関わる為替決済レートの影響で粗利益率が悪化するが、新規出店や経費抑制でカバーすることを狙う。
会見時間の大部分は、島忠とのシナジー創出に向けた道筋についての説明に割かれた。ニトリは島忠が持つホームセンターのノウハウを取り込み、家具・インテリア雑貨を主軸としてきた商品領域の拡大につなげる。早くも6月には、1階に島忠、2階にニトリの商品を並べた共同店舗を出す予定だ。
仕入れ商品が中心の島忠は、PB(プライベートブランド)が9割超を占めるニトリと比べ粗利益率が20ポイント以上低い。ニトリの生産ノウハウも活用しPB開発を進め、5年間で島忠の経常利益率を12%(前期は6.6%)に高める目標も掲げた。
島忠との統合について「有言実行する。ぜひ期待いただきたい」と意気込む似鳥会長。その成否は、ニトリにとって目先の業績に限らない重要な意味を持つ。似鳥会長が急ぐ異業種参入の試金石にもなるからだ。
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