2陣営分裂の結婚紹介業界、蠢動始めた統合作業

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オーネット、ツヴァイなどの大手から個人事業者まで、全国に約3800社ある結婚相手紹介事業者。優良事業者に発行する「マル適マーク」が分裂し膠着状態が続いていたが、雪解けに向けて動き出しそうだ。

2陣営に分かれたのは、事業者同士の対立から。同業界は利用者からのクレームが多く、国民生活センターへの苦情・相談が年間3000件に及ぶ。これを改善しようと経済産業省が主導し、08年7月にガイドラインを設定。同年末にNPOの「日本ライフデザインカウンセラー協会」(JLCA)がマル適マークの発行事業を始めた。

JLCAは経産省でガイドライン作成に尽力した原口博光氏(設立時は理事長、現在は事務局長)が退官後に設立した団体で、当初は単独で認証事業を行うものとみられていた。

ところが、審査費用を1事業所当たり2年で36万7500円と設定したことに、最大手のオーネットが「高すぎる」と猛反発。昨年3月に第二団体の「結婚相手紹介サービス業認証機構」(IMS)の設立を主導した。「JLCAに問題あり」と考えた経産省も、第二団体設立をバックアップ。IMSを担ぐオーネットに、JLCAを支持するツヴァイ、サンマリエ等、という対立の構図に陥った。

IMSは昨年6月に、2年で10・5万円という料金体系を正式決定。これに対しJLCAがIMSと同一料金で「基本認証」というマークを出したため、マル適マークは三つもある。

だが、当事者は「利用者のためには認証マークの一本化は必要」と口をそろえる。オーネットの島貫慶太社長は「業界のためにならない。統合交渉には積極的にかかわる」。昨年6月に就任したJLCAの平野高志理事長も「統合を進めることが自分の使命」と言う。経産省も「一本化が望ましい」という立場を取る。

あとはタイミングだ。複数の関係者は「6月人事での経産省サービス産業課の課長交代が好機。新課長が中立的な立場で旗振り役となれば統合は進む」と展望する。ただし、一定の規模以上の事業者以外には取得が難しいマル適マークだけでは業界全体の健全化は進まない。届け出制への移行など、規制強化の議論もともに進めるべきだろう。

(山田俊浩 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2010年5月1日号)

[写真]IMSの認証マーク(右)とJLCAの総合認証マーク(上)。JLCAはほかに基本認証マークも発行している

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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