「オンライン研修」低コストと過信する人の盲点 「対面式」と「オンライン式」どちらが得か?

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オンライン研修では、グループでの討論・ワークをやりにくい、質疑応答をしにくい、といった難点がよく指摘されました。こちらも、ブレイクアウトセッション(参加者をテーマ別に分ける機能)や質問機能に慣れてきて、かなり改善しました。

また、オンライン研修は「受講者の集中力が持たないから、研修時間は最長4時間で」と言われましたが、こちらも長時間やってもさほど問題ないことがわかってきました。

「昨年前半のオンライン研修ではトラブルが多発し、受講者からたびたびクレームを受けました。受講満足度も散々でした。しかしいまは、苦情・不満はほぼなくなり、受講者もわれわれ教育部門も『意外と問題なくできるじゃないか』という認識になっています」(素材)

対面方式をなくすかべきか、という迷い

オンライン研修がかなり浸透した現在、教育部門に大きな課題が浮上しています。それは、対面方式を全面的に取りやめ、コロナ後もオンライン研修に特化するべきか、という判断です。

「昨年、オンライン化で教育関連費用のコスト削減が進んだこともあって、経営陣からは全面オンライン化を検討するよう指示が来ています。一方、受講者からもわれわれ教育部門の中でも対面方式を望む声が多く、意見が割れています。近く方向性を打ち出す必要があり、苦慮しています」(通信)

問題は、オンライン化するものと対面方式を続けるものの仕分けです。基本スキルを講師が一方通行で解説するタイプの研修については、迷わずオンライン化できます。

一方、製造現場の技能や、販売店の接客スキルを教えるような物理的な実技やロールプレーを伴う研修のオンライン化は困難で、対面方式を続ける必要があるでしょう。

ただ、それ以外の階層別研修やビジネススキル研修など多くの研修を全面的にオンライン化するかどうかは、判断に迷うところです。

「昨年の研修受講者アンケートを見ると、学習意欲が低い従業員はオンラインで研修をさくっと済ませたい、学習意欲が高い従業員は対面方式でじっくり学びたい、という傾向です。教育部門としては、選抜型研修など重要なものについては対面方式を続けたいのですが、オンライン化を望む経営陣に対面方式のメリットをどう説明するかが難題です」(建設)

オンライン化のメリットは、「受講者数の増加」「教育関連費用の削減」という形ではっきり目に見えます。一方、対面方式のメリットは、「臨場感」「深いつながり」「臨機応変な対応」「発想の転換」「モチベーション」といった定量化はもちろん、言語化すら難しい曖昧なものばかりです。対面方式のメリットを経営陣に納得してもらうのは、容易ではありません。

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