ダイエー再建の茨道、店舗投資拡大へ転換

拡大
縮小


店舗老朽化が足かせ

ただ「コスト削減だけでは縮小均衡に陥る」(桑原社長代行)。目先の利益だけでなく、店舗投資を積極化し、売り場に活気を取り戻すことがもう一つの再建の柱だ。

ダイエーは長らく、店舗投資を抑制。平均年齢は30歳近くと古い店舗が多く、売り上げが伸びない要因となっている。従来は改装などの資金確保のため、保有物件を売却してきた。が、多くは借り入れの担保物件であり、借入返済に回ってしまう。

本業で稼げないうえ、資産を売っても投資に回すカネは残らない。負債が減る一方で、進む店舗の老朽化。そこへ不況が重なり、売り上げが一段と縮む悪循環に陥っている。

店舗改装にはカネがかかる。冷蔵設備などを備えるスーパーの改装は億単位に達し、前期では1店で6億円かかった改装もある。単体で約220店のスーパーを抱えるダイエーが、古い店舗の改装を集中的に行うとすれば、相当の金額が必要となるだろう。

問題は財源だ。「負債を増やしてでも前向きな投資をしたい」という桑原社長代行は、「銀行からの借り入れで賄いたい」とする。だが、その前に立ちはだかるのが今年9月末に迫るシンジケートローンの残債「670億円程度」(同)の借り換えだ。

本業が好調なら問題ない。だが、ダイエーの場合、融資を受けた07年に銀行へ提出した業績計画が未達となっているうえ、投資のための借入枠拡大も視野に入れている。流通業界の先行きが不透明な中、銀行団を納得させるには投資をテコにいかに立て直すのか示す必要がある。仮に了解が得られなければ、丸紅とイオンに頼らざるをえない。思いどおり店舗改革を進められるのか。桑原社長は就任早々、正念場を迎えることになる。

■ダイエーの業績予想、会社概要はこちら

(鈴木良英 撮影:ヒダキトモコ −週刊東洋経済2010年5月1日号)

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