元テレビマンが「さんま」の流儀から学んだこと 「努力が報われない人」に共通する残念な法則

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しかし、みなさんの中には、おそらく、「今の仕事は好きではないけれど、お金のために仕方なく働いている」「そもそも、好きなことややりたいことがない」という人もいるでしょう。「好きなことはあるけれど、そればかりやって生きていくのは無理」という人もいるかもしれませんね。そこで、拙著の中で紹介している「好きなことを増やす方法」から、1つ抜粋してご紹介します。

何でもおもしろがる「バラエティ思考」とは

その1つの方法は、物事を平面的にとらえるのではなく、360度、あらゆる視点からとらえ、どうすればおもしろくできるかを考える「バラエティ思考」を身につけることです。

例えば、ショッピングのロケをしたいけれど、撮影が押してしまい、あと1時間しかない場合。そんなときに「1時間じゃ無理!」と諦めるのではなく、急きょ「1時間でどれだけ買い物ができるかゲーム」に企画を変えます。制約をルールに変えてみると、普通にロケをするよりも、もっとおもしろくなることがあります。ピンチや制約をうまく利用するのです。

自分をアピールするなら、自分自身に「世界一の駄作を作った男!」といったキャッチフレーズをつけ、失敗の体験を自分で発信したらどうでしょう。世の中はおもしろいもので、「並の駄作」では人々は何ら関心を持ってくれませんが、世界一の駄作には興味をそそられます。

例えばツイッターでスーパーやコンビニなどの店長が「発注ミスで、こんなに商品が届いてしまいました。助けてください」とつぶやき、商品がドーンと売れることがたまにあります。これは、大量の商品が並ぶ写真、悲壮感のある文章などのバラエティ的おもしろさが、多くの人に支持された結果でしょう。

『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか?』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)

ほかにも「時間がなく追い詰められたときこそ、人気の映画を観る」、「人がおもしろいと思ったものは、とりあえずポチる」など、日常できることで「自分の好きなもの」を増やす方法はあります。

「自分の好奇心に躊躇しない」

これは水道橋博士さんの言葉ですが、まさにそれが大事だと僕も思います。どんなにくだらないことでもかまいません。何かに対して好奇心を抱いたら、それを実際に体験しつつ、しなければいけない自分のタスクや課題と、どうつなげることができるかを考えてみてください。その積み重ねがいずれアイデアという花を咲かせてくれ、好きなことで成功する一歩となることでしょう。

角田 陽一郎 バラエティプロデューサー/文化資源学研究者

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かくた よういちろう / Yoichiro Kakuta

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者。東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビ入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」「オトナの!」など主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社goomoを設立。2016年にTBSを退社。映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出など多様なメディアビジネスをプロデュース。現在、東京大学大学院博士課程にて文化資源学を研究中。著書:小説『AP』『最速で身につく世界史/日本史』『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか』他多数。週刊プレイボーイにて映画対談連載中、メルマガDIVERSE配信中。

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