2025年「自動運転レベル4」に立ちはだかる壁 自動運転普及のカギは「社会受容性」にある

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質疑応答の際、ホンダの自動運転開発担当者に「このN-BOXがレベル3になるのはいつごろか?」と聞いたところ、「10年、いや20年先……」と現時点で将来を予測することは極めて難しいとの表情を見せ、そのうえで販売店やユーザーなど市場でのレベル3に対する「社会受容性を精査していきたい」という姿勢を示した。

筆者は2000年代中盤からこれまで、自動運転について世界各地で自動車メーカーや自動車部品メーカー、IT関連企業、研究機関や大学、そして国や地方自治体への取材や意見交換を定常的に行ってきた。

お台場で2020年秋に行われた国の実証試験に対するメディア取材会の様子(筆者撮影)

また、国道交通省と経済産業省による中山間地域でのラストワンマイル自動走行実証試験では、その現場となる福井県永平寺町で2018年から一軒家を借り、街の政策に対して議論する永平寺町エボリューション大使に就任。各方面から永平寺町実証への視察対応なども行ってきた。

そうした中で「社会受容性」という視点が、自動運転の普及に向けた大きな課題であると強く感じている。

「社会受容性」の本質を問う

自動運転の社会受容性に対して、国や自動車メーカーが直近の考え方を示す機会が2021年3月15日にあった。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムにおける自動運転プロジェクト(通称SIP-adus)に関する、オンラインワークショップでのことだ。

国土交通省 自動車局 技術・環境政策課の多田善隆氏が「自動運転車の技術基準策定のポイント」として、道路運送車両法と道路交通法におけるレベル2とレベル3の解釈の違い、国際基準策定の取組などを説明していたのだが、その中で、自動運転車の普及には「技術開発を阻害しないように、技術の進展と普及活動に応じた段階的な施策が重要だ」と指摘していた。

そして、具体的に以下の4つのフェーズにおける施策例を挙げた。

(1)技術開発期:技術ガイドラインや保安基準〔任意規格〕の策定
(2)技術競争期:自動車アセスメント
(3)普及拡大期:サポカー補助金や税全優遇措置
(4)標準搭載期:保安基準〔強制規格〕の策定

そして多田氏は、現状での自動運転は(1)の「技術開発期にあると思う」と個人的な見解を述べ、社会受容性については、ユーザーの自動運転機能に対する過信を問題視した。

現状のレベル2(実質的には高度運転支援システム)に関しても、逆光や悪天候などが理由で年間100件ほどの不具合事案が国交省に報告されているという。そのため「レベル2を含めて、レベル3でもユーザーに対する機能への過信を防止するよう、技術の特性をしっかりと伝えることが必要だ」と強調する。

国交省に次いで、一般社団法人 日本自動車工業会の自動運転部会長 横山利夫氏が「自動運転の実用化に向けた日本自動車工業会の取り組み」を発表した。

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