マイクロソフト、グーグルに政治圧力かける訳 MS社長が報道機関との不均衡は関係に言及
フェイスブックやグーグルといったデジタルプラットフォーム企業に対し、報道機関に団体交渉権を与える反トラスト(独占禁止)法案が3月12日、アメリカ連邦議会で議論された。巨大IT企業の力をそぎ落とすことを目的とした法案が脚光を浴びている。
下院反トラスト小委員会の公聴会で目を引いたのは、マイクロソフト社長ブラッド・スミス氏の証言だ。IT大手でありながら同法案を支持すると表明したからである。
同業他社とたもとを分かった理由としてスミス氏は、報道機関とプラットフォーム企業との間に存在する不均衡な力関係を挙げた。同氏によれば、新聞広告収入が2005年の494億ドルから2018年に143億ドルまで急落する一方、グーグルの広告収入は61億ドルから1160億ドルに急増した。
「グーグルの市場支配」を糾弾
「検索エンジンはニュースの利用によって潤っているが、報道機関は記事使用料を受け取っていないことが多く、受け取っていたとしても相応の対価ではない」とスミス氏は語った。
「今日のジャーナリズムを悩ませている問題の一端は、検索・広告技術市場における競争が根本的に欠落していることにあり、そうした市場を支配しているのがグーグルだ」
今回の公聴会は、下院反トラスト小委員会が反トラスト法の強化に向けて進めている一連の公聴会の2回目にあたる。民主党のデービッド・シシリン下院議員(ロードアイランド州選出)が委員長を務める同小委員会は昨年10月、アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルの支配力に関する16カ月間にわたる調査結果を公表。これら巨大IT企業が独占的地位を濫用していると非難した。