英国「メーガン妃嫌い」に日本人が学ぶべき教訓 異文化になじむのはそう簡単なことではない

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さらに、これからもビジネスに最大限利用しようとしているロイヤルブランドを自ら傷つけるような発言をするのは得策とはいえません。一時的にアメリカで同情を買ったとしても、そのブランド力を傷つけ、イギリス王室の好感度を下げた代償は大きいでしょう。

アメリカの正義の価値観からすれば王室の人種差別を明るみに出すのは正しいとされるかもしれませんが、標的にしているのは他国のイギリスです。イギリス王室への攻撃的発言は、すべてのものがネガティブに映り、自己保身のために自己正当化を試みる典型的な異文化不適応の状態のように私には映り、残念です。

ヘンリー王子は「文化の案内人」になれなかった

欧米のビジネススクールでは、グローバルビジネスには「文化の案内人」が重要な役割を果たすことが強調されています。

異なる両方の文化に精通し、とりわけ異文化の国や地域に住む外国人にわかりやすく国・地域特有の文化を解説し、消化不良を起こさないようにする。そして受け入れる側には異文化を持ち込む人間の持つ価値観や慣習を説明し、深刻な対立が起きないようにするのが「文化の案内人」です。

メーガン妃にとって異文化のイギリス王室への適応で最も重要なポジションにいるのがヘンリー王子です。メーガン妃は自殺を考えるほど追い込まれたといいますが、ヘンリー王子はどうしていたのでしょうか。

英調査会社ユーガブ(YouGov)が3月12日発表した世論調査結果によれば、今回のインタビュー放映前の今月初めに行われた調査では、王子に好感を持つ人は53%だったのが、インタビュー後、過去最低の44%まで下落し、とくに65歳以上のイギリス人の場合、69%がヘンリー王子に不快感を示しました。

生まれたときからイギリス王室の高位にあるヘンリー王子は追い込まれたメーガン妃に対して、王室の解説者であり、妻を守る立場で適応を手助けする必要があったのは間違いありません。

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