不況で引っ越しが減少、賃貸仲介業界に再編の波
長引く不動産不況は、賃貸住宅業界をも疲弊させている。
賃貸仲介のエイブルと不動産情報のCHINTAIは13日、経営統合すると発表した。11月に株式移転方式で共同持ち株会社「エイブルCHINTAIホールディングス」を設立し、両社が傘下に入ることになる。
「一体化により、仕入れ・集客・仲介の連携が一段と加速してシナジーが発揮できる」。会見の席上、エイブルの平田竜史社長は統合の狙いをこう説明した。有力な賃貸情報誌『CHINTAI』と、仲介業の直営店舗数で業界トップのエイブル。一見すると強力なタッグに見えるが、額面どおりには受け取れない。
そもそもCHINTAIはエイブルから派生しており、両社の実質的な筆頭株主は同じ。現在、CHINTAIの物件広告のうち「60%がエイブルの物件」(CHINTAIの手塚清二社長)と依存度は高い。はたして規模拡大によるシナジー効果をどこまで出せるのか疑問だが、会見で具体策が説明されることはなかった。
ここ数年の賃貸仲介業は頭打ちで、競争は激化している。両社とも業績が伸び悩んでおり、危機感が統合へと背中を押した格好だ。
管理業でも競争激化
これまでは核家族化に伴う世帯数増加から、少子化でも賃貸ニーズは拡大するといわれてきた。しかし長引く景気低迷が、業界の見方を覆した。
まず、所得の伸び悩みを背景に住み替え意欲が低下。地方出身の学生に対する親からの仕送りも減少傾向で、家賃の低下も続く。当然、付帯事業である引っ越しや室内リフォームも低調で、業界は契約件数減と仲介手数料の下落という二重苦に見舞われているのが実情だ。