海外発BtoBサービス案内人が語る「成功の法則」 次の焦点はバックオフィスのデジタル化支援

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――BtoBに特化しているのは、なぜですか。

海外のクラウドの主役は一貫してBtoB。BtoCが圧倒的に多かった日本のスタートアップも2014~2015年ぐらいからBtoBの数が増えてきた。BtoBこそが圧倒的に大きな市場だと考えている。

過去の投資や支援の経験からチューニング(微修正)をずっと繰り返しているが、ジャパン・クラウドの大きな強みといえるのは、オペレーションの部隊だ。(海外企業が)日本法人を立ち上げる時期には、とにかくリソースが足りない。そのため、セールスやマーケティング、人材採用などのスペシャリストをそろえ、ハンズオンで立ち上げの支援をしている。

外資系企業の経験者をそろえている

――これまでセールスフォースやコンカー、マルケトなどの有名企業を支援してきた実績があり、海外企業からみてもわかりやすい。

過去の成功は、海外のベンダーに魅力に感じてもらっている。実際、ジャパン・クラウド・コンピューティングの経営陣の中にはコンカー社長を務めている三村真宗さんがアドバイザーとして加わっている。

ふくだ・やすたか/1972年生まれ。早稲田大学卒業後、日本オラクルに入社。セールスフォース・ドットコム、アドビシステムズ専務執行役員などを経て、2020年1月よりジャパン・クラウド・コンピューティングのパートナーおよびジャパン・クラウド・コンサルティングの代表取締役社長。著書に『THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』(写真:ジャパン・クラウド・コンサルティング)

オペレーションを支援する部隊の中にも、セールスフォースやマルケト、マイクロソフトなど、さまざまなか外資系企業で働いてきた経験者がそろっており、日本でのカスタマイズの方法や成功の法則を熟知している。これは大きな強みだ。

――福田さんは多くのBtoBクラウドサービスをみてこられたと思います。最近のサービスの傾向をどうみていますか。

3つの変化点に注目している。まず「バーティカルSaaS」。これは業界や業種を特化して、業界特有の課題をまとめて解決するというもの。銀行業務の最適化をクラウドで支援するnCinoはその代表格だ。

「ユーセージベースプロダクト課金」にも注目が集まっている。これは、ストレージなどの使用状況に応じて従量課金する方法で、使用人数に応じた定額課金、いわゆるサブスク課金とは異なる。

「プロダクト・レッド・グロース」にも注目している。これはZoomやSlackなどの成長を支えたビジネスモデルだ。無料トライアルから始まり、一定以上になると有料課金でグローバルを席巻する共通戦略として注目を集めている。

こうした変化点も大切だが、われわれが変わらず見ているのは、日本のBtoB市場に対してどういったソリューションを提供していくかという観点だ。「DX」という言葉が流行っているが、手を付けられていないところがまだたくさんある。

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