都民が無関心「相鉄」なぜかっこよくなったのか 新横浜乗り入れ控え、最高のモテ期が到来する

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せいぜいが、二俣川にある運転免許センターだろうか。と言っても、免許センターは都道府県ごとにあるから、二俣川の免許センターに行くのは神奈川県民だけである。ほかには何があるかと言うと、頑張れば探せないこともない。ズーラシアという動物園は相鉄線の鶴ケ峰駅からバスに乗って15分くらいだし、大和駅のある大和市は阿波おどりで有名だ。終点の海老名にはららぽーと。が、大和と海老名は小田急線で行くことができるし、動物園ならわざわざズーラシアまで行かなくてもなんとかなる。沿線の人、神奈川県内の人ならばともかく、ほかの地域に暮らしている人が大挙して押し寄せるほどかというと、申し訳ないけれど実に微妙なのである。

大学ならばフェリス女学院大学や横浜国立大学が相鉄線の沿線にある。だからこれらの大学に通っている学生は相鉄線に乗る機会がままあるだろう。横浜国立大学は横浜駅からバスを使うとかほかの手段も少なくないが、フェリス女学院大学緑園キャンパスならば相鉄いずみ野線緑園都市駅がほぼ唯一の交通手段。また、いずみ野線の終点湘南台駅からバスに乗り継げば慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスだ。このキャンパスの学生たちが横浜の町に出て遊ぼうと思えば、相鉄線に乗るのだろうか。いや、湘南台駅からは横浜市営地下鉄も出ているから、そちらの利用者も多いのかもしれない。

いずれにしても、相模鉄道の沿線には“遠くからわざわざ行くような場所”が少ない。同じく首都圏の大手私鉄だと、京王線には高尾山、京急線には羽田空港や三浦半島のマグロ、京成線には成田空港と成田山新勝寺、西武にはメットライフドームと秩父観光、小田急には小田原・箱根、東武鉄道は日光観光……と、とにかくキリがない。そうした観光施設とは無縁そうな東急にしたって、ターミナルの渋谷は大繁華街だし、武蔵小杉の発展ぶりはご存じのとおりだ。

著名スポットがないのに堂々の「大手私鉄」

首都圏以外にも目を向けてみよう。相模鉄道と同じ大手私鉄に含まれつつも、比較的路線距離が短く“地味”扱いを受けがちな阪神電車は泣く子も黙る阪神甲子園球場。首都圏の人はあまり知らないかもしれないが、名古屋鉄道には中部国際空港セントレアがあるし、九州の雄・西日本鉄道は太宰府天満宮と水郷のまち・柳川だ。

このように、だいたいの大手私鉄は沿線に誰もが知っているようなスポットを持つ。鉄道会社が自ら集客のために開発したケースもあれば、もともとあった施設への輸送を目的に鉄道ができたケースもあるしそれはいろいろだが、とにかく有名スポットを持っていることがあたりまえなのだ。それが鉄道会社の知名度アップにも貢献している。

ところが、相模鉄道にはそれがない。良いとか悪いとかではない。むしろそれでいて大手私鉄として立派な地位を築いているのだからスゴイとも言える。ただ、おかげで知名度がどうしても低い。それだけは紛れもない事実である。

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