バーニーズ「日本1号店」撤退が示す深刻課題 セブングループの中での立ち位置も見えない
「THANK YOU SHINJUKU」――。2月下旬の休日、新宿3丁目の繁華街に店を構える「バーニーズ ニューヨーク新宿店」のショーウィンドーには、閉店を知らせるメッセージが掲げられていた。店内には「店頭セール価格より50%~40%オフ」と書かれたポップが随所に目立つ。緊急事態宣言下でも、低層階は最終処分セールを目当てに訪れたとみられる顧客で混み合っていた。
2月28日、新宿店は30年余りの歴史に幕を閉じる。日本1号店として開業したのは1990年。地下1階・地上9階の10フロアにまたがる大型店で、国内でのブランドイメージの発信拠点としての役割を担ってきた。
バーニーズの親会社はセブン&アイ
撤退の背景には、新型コロナウイルス禍で売り上げの低迷に拍車が掛かり、入居ビルの賃貸借の更新時期が重なったことがある。運営するバーニーズジャパンは銀座店や横浜店などの旗艦店5店、アウトレット店5店の計10店を展開する(今回閉店する新宿店を除く)。親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(セブン)によると、直近で他店の閉店の予定はないという。
アメリカのバーニーズ ニューヨークが販売不振から、1996年に続く2度目の経営破綻に追い込まれたのは、2019年8月のこと。本国との資本関係はないものの、日本事業を展開するバーニーズジャパンもコロナ禍以前から苦戦が目立っていた。それだけにアパレル業界内で今回の新宿店撤退は、大きな驚きもなく受け止められている。
バーニーズジャパンは、アメリカのバーニーズ ニューヨークとライセンス契約を結んだ伊勢丹が1989年に設立した。伊勢丹は百貨店事業に経営資源を集中させるため、全株式をファンドと住友商事に売却。2014年にはセブンが49%の株式を取得し、2015年2月に完全子会社化した。
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